第4節 再生可能エネルギー固定価格買取制度導入

近年、新興国を中心としたエネルギー需要の急増に伴う国際的な資源獲得競争の激化や、国内外における地球温暖化対策の強化が求められる状況の中、純国産のエネルギー源であり、二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーの果たす役割の重要性が高まってきています。本項では、再生可能エネルギーの導入支援策の大きな柱である固定価格買取制度導入の背景と経過、制度開始後の状況をまとめます。

1.制度導入の背景

固定価格買取制度は、再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)によって発電された電気を、国が定める一定の期間にわたって、国が定める一定の価格で購入することを電気事業者に義務づける制度です。これにより、再生可能エネルギーを用いる発電投資への投資回収の不確実性を低減させ、これらに対する投資を促すことで再生可能エネルギーの導入拡大を加速化させる効果が得られると見込まれています。また導入拡大が加速すれば、設備の量産化が進み、現時点では他のエネルギーに比して割高な再生可能エネルギーのコストダウンが進展することも期待されています。
 このように、再生可能エネルギーの導入拡大にとって大きな効果を持つ固定価格買取制度の導入は、東日本大震災以前から検討されており、「エネルギー基本計画」や「新成長戦略」においても、言及がなされていました。17 この制度を実施に移すため、2011年3月11日に「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(以下「特措法」)案が閣議決定されました。その後、東日本大震災及び福島第一原子力発電所における事故を経て、中長期的に脱原子力依存を進めていくためにも再生可能エネルギーに対する期待はこれまで以上に高まりました。同法案の国会審議の過程では、政府が提出した法案に対して、民主党・自由民主党・公明党の三党の合意に基づき、一層の再生可能エネルギーの導入拡大の観点から修正がなされ、最終的にこの修正を反映した形で、同年8月26日に法案が成立し、同年8月30日に公布されました。
<参考>主な国会修正事項
・ 政府案では太陽光発電以外は一律の価格と期間での買取りを想定していたところ、再生可能エネルギー源の種別、利用形態、規模ごとに価格と期間を設定・ 事業活動に当たって電力を多く使用する事業を行う事業者に対する負担軽減措置の創設
 ( 売上高当たりの電気使用量が、製造業については製造業平均の8倍以上、非製造業については非製造業平均の政令で定める倍数(14倍)以上の事業を行っている等の要件を満たす事業者に適用)・ 政府案では、調達価格等の決定プロセスは総合資源エネルギー調査会の意見を聴いて定めることとされていたところ、新たに設けられる調達価格等算定委員会の意見を尊重し定めることに変更 等

2.調達価格等算定委員会の検討経過と結論

上記のように、特措法においては、経済産業大臣は調達価格(電気事業者が買い取る際の価格)と調達期間(調達価格での買取りが継続する期間)を決定するにあたり、国会の同意を得た上で任命される委員から構成される調達価格等算定委員会(以下、「委員会」と言う)の意見を尊重することが明記されました。2012年3月に、以下の5名が委員会の委員として両議院の同意を得た上で任命され、同月から委員会での議論が開始されました。
 委員会では、法律の内容や国会における議論を踏まえつつ、業界団体等からのヒアリング(太陽光発電協会等の各種発電に係る業界団体や、新規参入を予定している事業者、経済団体等)、各種論点についての詳細な議論・検討が全7回にわたり行われました。
 その上で、委員会は2012年4月27日に「平成24年度調達価格及び調達期間に関する意見」をとりまとめ、枝野経済産業大臣に提出しました。 経済産業省においては、提出された意見を尊重し、意見通り調達価格・調達期間を決定し、同年6月18日に告示しました。(第124-2-1)また、法律の規定に従い、調達価格・調達期間については、委員会の意見と併せて、国会にも報告がなされました。


委員会名簿 

委員会名簿

【第124-2-1】告示された調達価格等

【第124-2-1】告示された調達価格等

3.制度開始後の状況

2012年7月1日の制度開始以降、同年7月末現在で33,695件、出力にして合計約57万kW の設備が制度の適用を受けることができる設備として経済産業大臣により認定されています。こうした認定を受けた案件を含め、市場では、固定価格買取制度の導入を機に、様々な事業化プランの検討が進んでおり、政府の試算では、2012年度だけでも、設備容量ベースで合計250万kW 程度の再生可能エネルギーの導入拡大が進むと見込んでいます(第124-3-1)。
 一方で、固定価格買取制度では、電気事業者が再生可能エネルギー由来の電気の買取りに要した費用について、賦課金として電気料金に上乗せする形で国民の皆様にご負担いただくことになっています。2012年度においては、賦課金の単価は1kWh 当たり0.22円となっています。これに、これまで実施してきた太陽光の余剰電力買取制度の負担(全国平均で1kWh 当たり0.07円)と併せて、2012年度では1kWh 当たり0.29円(全国平均)のご負担をお願いすることになります。これは、一月に7,000円程度の電気料金をお支払いいただいているご家庭(一月300kWh 程度の電力使用量を想定)であれば、一月約87円の負担となります。再生可能エネルギーの導入拡大が進めば、賦課金の負担も増大していくことから、負担が過重なものとならないよう常に配慮することが重要です。このため、固定価格買取制度の下では、再生可能エネルギー発電事業者が実際に設備の設置等に要した費用について、事後的に経済産業省に報告することを求めており、集計されたデータを翌年度以降の調達価格の審査に活用することで、発電設備等のコスト低減の成果を適切に調達価格の見直しに反映することとしています。

【第124-3-1】2012年度の再生可能エネルギーの導入量見込み

【第124-3-1】2012年度の再生可能エネルギーの導入量見込み

(出所)
1. 単年度導入量については、太陽光発電はJPEA出荷統計、風力発電はJWPA統計、その他電源はRPSデータ等より
2. 2012年度見込みについては、各種前提により資源エネルギー庁推計
17
2010年6月に改訂・策定された「エネルギー基本計画」や同月に策定された「新成長戦略」においても、一次エネルギーに占める再生可能エネルギーの割合を、2020年度までに10%に引き上げることを目標とする等、これまで以上の再生可能エネルギーの導入拡大が求められるようになっており、このような高い目標を実現するための最も効果的な手段として、固定価格買取制度を導入することが検討されていました。