第3節 石油・LPG

1.被害の状況

震災により臨海部を中心に港湾や道路が大きな被害を受けました。東北地方で唯一の製油所であるJX日鉱日石エネルギー株式会社仙台製油所をはじめ、東北・関東地方にある9製油所のうち、6製油所が被災しました。また、主要供給拠点である塩釜油槽所の受入港湾にタンカーが着桟できない状況となるとともに、タンクローリーが多数被災する等、被災地における石油製品の安定供給に支障を来しました。
 また、LP ガス供給基地は、東北各県及び茨城県の9基地中7基地が被災し、充aX所は被災3県(岩手、宮城、福島)の160カ所中、28カ所が使用不可能になりました。
 石油製品(ガソリン・灯油・軽油等)の流通網については、タンクローリーが津波により多数被災したことに加え、道路・鉄道事情が大幅に悪化し、交通網が分断状況となったこと等により、油槽所からサービスステーション(SS)へのガソリン等の安定的な輸送が困難な状況となりました。また、津波の影響で、サービスステーション(SS)についても給油設備が被害を受けたこと等により、岩手や宮城の一部地域において、全てのサービスステーション(SS)が営業不能になった市町村もありました。

2.講じた措置(対応)と明らかになった課題

(1)震災において講じた対応

被災地からの個別燃料供給要請への対応

震災発生直後より、医療機関や警察、消防を始め各方面から差し迫った石油製品供給の要請がありました。政府は、石油連盟、全国石油業共済協同組合連合会、石油元売各社と協力して対応体制を構築し、24時間態勢でこれらの要請に対応するとともに、LPガスについても他地域からの輸送体制を強化6 する等して被災地への供給確保を行うと共に、軒下在庫7の活用及び仮設住宅への供給等8を行いました。

包括的な供給プランの策定(東北地方(被災地)及び関東圏でのガソリン・軽油等の供給確保)

今次震災においては、津波等によるタンクローリーの被災や、東北・関東地方にある製油所の被災による国内の石油精製能力の低下によって被災地等における石油製品の安定供給に支障を来しました。
 石油元売各社は、経済産業大臣からの被災地へのタンクローリーの追加投入や、製油所稼働率の引き上げについての要請に基づき、約300台のタンクローリーの追加投入や西日本における石油製品の増産を実施しました。その増産分についてはタンカー等により被災地へ大量転送しました。
 津波等により被災し、出荷困難な状況に陥った太平洋側の油槽所については、石油元売各社による設備の復旧、関係機関協力下での近海海域の掃海・周辺道路の回復による油槽所機能の早期回復が図られました。
 また、比較的被害の小さかった油槽所を複数の石油会社間で共同利用する等の柔軟な対応により、被災地への石油供給を行いました
 これらの対応に加え、消防・警察等の緊急車両への燃料供給を優先するよう、石油販売業界に要請するとともに、緊急車両に対して確実に燃料供給を行うために、東北圏で合計385カ所、関東圏で合計348カ所のサービスステーション(SS)を緊急重点サービスステーションとして認定しました。
 また、福島原子力発電所周辺地域においては、住民の方々の自主避難を円滑に進めるため、関係団体に対して重点的な燃料供給を行う旨の要請も行いました。
 なお、上記以外の対応として、タンク貨車による鉄道輸送や、ドラム缶のトラック等による被災地への石油製品の大量輸送、石油備蓄法に基づく民間備蓄義務の引き下げ及び国家備蓄LPガスの放出(交換)等9を行い、東北地方(被災地)及び関東圏における石油製品の供給確保に取り組みました。

エネルギー供給施設の復旧等の支援

今回の震災では津波により給油設備が被害を受け、多くのサービスステーション(SS)が営業不能に陥りました。被災地域における石油製品の供給体制を早期に回復させるため、被害を受けた給油設備の補修や安全点検を行う等のサービスステーション早期復旧支援に取り組みつつ、サービスステーションの復旧が完了するまでの間についても、移動式給油機やタンクコンテナを設置する等して簡易サービスステーションによる仮営業の支援も行いました。
 また、震災により経営が悪化した被災地域のサービスステーション(SS)の資金繰りに関しても、全国石油協会が金融機関からの資金調達を行う際の保証人になり、借入債務の保証を行うことで対応しました。
 更に津波等による損壊により通常の信用取引が困難になった被災地域のサービスステーション(SS)についても売掛債権の未回収リスクを国が負担することで石油製品の安定供給の支援を行いました。
 LP ガスについては、中小企業が所有する10カ所程度の充填所や震災前に東北地方の半分以上のLP ガス供給を担っていた仙台ガスターミナルに対し、設備復旧の支援を行いました。また、LPガス輸入業者からなる日本LPガス協会においてあらかじめ定めていた相互支援協定を発動し、上記国家備蓄の放出や東北・関東の他の基地等からローリーによる代替供給を速やかに実施した結果、東北地方におけるLPガスの安定供給を確保することが出来ました。

(2)明らかになった課題

今回の震災での経験を踏まえ、石油基地、LPガス出荷基地・充填所等の災害対応能力や物流機能の強化、情報収集・情報提供体制の強化等、災害時にも確実に石油製品を供給できる体制の整備が課題として明らかになりました。

【第113-2-1】東北地方(被災地)及び関東圏でのガソリン・軽油等の
供給確保の為の包括プラン10

【第113-2-1】東北地方(被災地)及び関東圏でのガソリン・軽油等の供給確保の為の包括プラン10

6
LP ガス輸入業者からなる日本LPガス協会においてあらかじめ定めていた相互支援協定を発動し、東北・関東の他の基地等から代替供給を速やかに実施しました。
7
通常、LP ガスの供給先にはLPガス容器が複数本設置され、軒下在庫とも言われています。復旧については個別の対応となるため、早期の供給再開が可能です。
8
ほぼ全ての仮設住宅約53,000軒に対して供給されています。
9
LP ガス元売業者からの国家備蓄LPガスの放出要請を受け、「石油の備蓄の確保等に関する法律」に基づき、隣接する神栖国家備蓄基地の備蓄LP ガスを4万トン放出(交換)しました。