第2節 主要国のエネルギー政策 近年の動向と直面する課題

本節では、フランス、ドイツ、英国、イタリア、アメリカ、中国、韓国、インドのエネルギー政策について概観します。特に、東日本大震災を契機に、主要国のエネルギー政策がどのように変化したかを見てみます。

1.主要な供給源

主要国の一次エネルギー構成比率と電源別電力供給構成比率、エネルギー自給率を概観します。

一次エネルギー構成(2008年実績)では、日本と欧州先進国全体、米国、韓国は類似していることが分かります。原子力立国フランスを除き、ほとんどの国において化石燃料依存度は80%程度以上となっています(第122-1-1)。

【第122-1-1】一次エネルギー構成比率の国際比較(2008年実績)

【第122-1-1】一次エネルギー構成比率の国際比較(2008年実績)

(出所)
IEA Energy Balances of OECD/ Non-OECD Countries

【第122-1-2】電源別電力供給構成の比較

【第122-1-2】電源別電力供給構成の比較

(出所)
IEA Electricity Information 2010

電源別電力供給構成では、各国の供給安定性・環境適合性・経済効率性が色濃く反映されています。エネルギー自給率の低い国、供給リスクの高い国、エネルギー需要の急増が見込まれる国は、原子力を戦略上重要なオプションと位置づけている傾向にあります。

欧州各国のエネルギーミックスはフランスが原子力の利用が多く、イタリアは原子力を利用していないなど、国毎に差異がありますが、欧州全体は、電力・ガス管網で相互につながっているため、一国で電力の安定供給が出来なくなった場合でも、発電容量が大きい他国から電力を融通することが可能となることから、欧州全体でのエネルギーミックスに着目することが重要です。IEAによれば、ドイツは2008年の電力消費量541TWhの8%を輸入し、11%を輸出していました。また、イタリアは2008年の電力消費量319TWhの14%を欧州各国から輸入し、輸出は1%となっており、フランスは発電量の550TWhの11%を欧州各国に輸出し、2%を輸入していました。欧州全体と、日本の電源別電力供給構成は似通っていることが分かります。

【第122-1-3】欧州の電力網

【第122-1-3】欧州の電力網

(出所)
IEA, Electricity Information 2010 Indicative value for Net Transfer Capacities (NTC) in Continental Europe

【第122-1-4】欧州主要国の電力の輸出入割合

2008年実績 ドイツ イタリア フランス スイス 英国
輸出割合(※1) 11% 1% 13% 56% 0.4%
輸入割合(※2) 8% 14% 2% 54% 4%
国内需要(TWh) 541 319 462 59 351
※1
輸出割合:輸出量÷国内需要
※2
輸入割合:輸入量÷国内需要
(出所)
IEA Electricty Infomathion 2010

将来の世界の発電電力量構成は、国際エネルギー機関(IEA)の分析によれば、2035年時点で、概ね石炭・石油・天然ガスの化石燃料が54%、原子力は14%、水力・再生可能エネルギー等が32%になると予測されています(第122-1-5)。

【第122-1-5】各国の発電電力量構成見通し

【第122-1-5】各国の発電電力量構成見通し

(出所)
IEA, World Energy Outlook 2010

(1) 再生可能エネルギー

中国をはじめとする、新興国のエネルギー需要の急増に伴い、化石燃料等の資源獲得競争が激化する中、純粋な国産資源であり、かつ、エネルギー変換時に二酸化炭素を発生しない再生可能エネルギーは世界各国でその重要度を増してきています。

各国の再生可能エネルギー等の内訳をみると、現状バイオマスが過半を占める国が多く、また太陽光、風力が占める割合は、ドイツ、スペインを除く国において1%未満であることが分かります(第122-1-6)。

【第122-1-6】各国の再生可能エネルギー等の一次エネルギー供給に占める割合

  アメリカ OECD欧州 フランス ドイツ イタリア 英国 スペイン 中国 韓国 日本
太陽光 0.1% 0.2% 0.0% 0.4% 0.1% 0.0% 0.6% 0.5% 0.0% 0.1%
風力 0.4% 0.7% 0.3% 0.9% 0.4% 0.4% 2.9% 0.0% 0.1%
小計 0.4% 0.9% 0.4% 1.4% 0.6% 0.5% 3.5% 0.5% 0.1% 0.2%
地熱 0.4% 0.6% 0.0% 0.2% 2.8% 0.0% 0.0% 0.0% 0.5%
水力 1.0% 2.6% 2.0% 0.5% 2.6% 0.1% 2.8% 2.0% 0.1% 1.3%
パイオマス 3.8% 6.2% 5.5% 7.2% 4.2% 2.7% 5.1% 9.0% 0.5% 1.1%
廃棄物など 0.2% 0.7% 0.5% 1.2% 0.5% 0.2% 0.2% 0.8% 0.2%
その他 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0%

※中国以外は2010年の速報値。中国は2009年度の値。

※中国の太陽光、風力の項目には地熱も含まれる。

(出典)
Energy Balances of OECD Countires, Energy Balances of Non-OECD Countires

各国の再生可能エネルギー導入の見通しについては、様々な国において太陽光、バイオマスや風力を中心として拡大する傾向があります。

再生可能エネルギーには様々な種類があり、それらは地形や気候により大きく制約条件が異なる上、再生可能エネルギー開発の目的や意義もそれぞれの国・地域の置かれた政治や経済状況、他のエネルギー資源の利用状況、技術水準、社会インフラの整備状況等により違いが生じています。

(2) 原子力

オイルショック前、原子力発電を実用化している国は欧米を中心とした10カ国余りに限られ、発電電力量に占める比率も2.1%にとどまっていました。その後、先進国を中心に石油代替エネルギーとして注目が集まるようになり、原子力発電の導入が進みました。1980年代には、スリーマイル島事故、チェルノブイリ事故等によりアメリカ、英国では導入が停滞したものの、エネルギー自給率の低い国や供給リスクの高い国を中心に、準国産エネルギーの比率を高めることを目的として原子力利用が進み2007年には世界の発電電力量に占める原子力発電の割合は、13.8%になりました。

【第122-1-7】主要先進国における再生可能エネルギー利用状況

  アメリカ EU
英国 フランス ドイツ イタリア スペイン
再生可能エネルギー
の導入目標
(除米国)

2035年

発電総量の80%を「クリーンエネルギー

(※再生可能エネルギー、原子力、高効率天然ガス、クリーン石炭)

EU全体:2020年までに再生可能エネルギーを最終エネルギー消費の20%

2020年

最終エネルギー消費の15%

2020年

最終エネルギー消費の23%

2020年

最終エネルギー消費の18%

2020年

最終エネルギー消費の17%

2020年

最終エネルギー消費の20%

再生可能エネルギー
の主力
●現状主力
○今後拡大

●木質バイオマス

○風力が拡大傾向

○バイオ燃料拡大傾向

●木質バイオマス

○風力が拡大傾向(洋上風力)

○バイオ燃料拡大傾向

●木質バイオマス

○風力が拡大傾向

○バイオ燃料拡大傾向

●木質バイオマス

○太陽光発電の拡大傾向

○風力が拡大傾向

○バイオ燃料拡大傾向

●地熱

○風力が拡大傾向

○バイオ燃料拡大傾向

●木質バイオマス

○太陽光発電の拡大傾向

○風力が拡大傾向

○バイオ燃料拡大傾向

主な導入促進施策
(研究開発含む)
  • バイオ燃料導入義務化<07~>
  • RPS制度(州)<09~>
  • 買取制度(州)
  • 再生可能エネルギー分野における雇用創出目標
  • 補助金、税制
  • RPS制度<02~>
  • バイオ燃料導入義務化<06~>
  • 買取制度<10~>

※買取は小規模限定

※17~大規模電源も含めた制度に移行予定

  • 補助金
  • 買取制度<01~>

※風力発電開発区域の導入

  • 補助金、税制
  • 買取制度<91~>

※太陽光の導入増加により買取価格引き下げ<2010~>

  • バイオ燃料導入義務化<07~>
  • 補助金
  • RPS制度<02~>
  • 買取制度<05~>
    (太陽光05~、その他 07~)

※買取は小規模限定

  • ・補助金
  • 買取制度<94~>

07 太陽光買取価格値上げ、助成

08 太陽光買取価格引き下げ

【第122-1-8】各国のエネルギー自給率と原子力利用の関係

(出所)
IEA Energy Balances

【第122-1-9】各国の電気料金比較

(出所)
OECD, IEA「ENERGY PRICES & TAXES 1Q 2010」

2.主要国のエネルギー政策

フランス、ドイツ、イタリア、英国、アメリカ、中国、韓国、インドの各国のエネルギー政策について、特に、再生可能エネルギー政策、原子力政策、震災後の政策の変化に重点をあてて概観します。

(1) 欧州

EUのエネルギー政策の基本目標は「エネルギー安定確保と持続可能性」であり、具体的には以下の4つの方針のもとで実施されています。

【第122-2-1】EU のエネルギー政策の基本方針

低炭素経済への寄与 再生可能エネルギーの推進、及びエネルギー消費の抑制を通してEUの温室効果ガス削減目標「2020年までに1990年比20%削減」の達成に寄与する。
緊急時に対応したエネルギー確保 EUで消費されるエネルギーの約50%はロシアから各国を経由して輸入されている。ロシアからの供給途絶に備え、EUでは原油の備蓄を積極的に行っている。
エネルギー確保のための新たな手段の実施 EUは、トルコを経由してカスピ海地域から天然ガスを輸入するためのパイプラインを建設している。また、再生可能エネルギーを制御するための電力網整備も強化している。
自由化の推進 法律によって電力自由化が施行されているが、競争力の確保、アンバンドリングが課題。

特に、欧州各国の再生可能エネルギーの促進に関しては、欧州委員会(EC)が主導的役割を担っています。2001年には「欧州再生可能エネルギー電源の導入促進に関する指令(Directive 2001/77/EC)」を公布、これにより国別再生可能エネルギー目標値を設定しています。また、2009年の「再生可能エネルギー指令」では、2020年までにEU全体の最終エネルギー消費全体の20%を再生可能エネルギーとする目標を掲げています。

2010年11月に欧州委員会はエネルギー新戦略「Energy2020」を発表しました。今後10年間のEUのエネルギー計画の端緒となるもので、2009年4月に法令化された「エネルギー・気候変動政策パッケージ」に掲げられている①温室効果ガスの排出量削減②再生可能エネルギーの導入割合③エネルギー効率向上のエネルギー・気候変動に係る数値目標である、「3つの20(20・20・20)」の達成を軸に策定されています。

【第122-2-2】EU エネルギー・気候変動政策パッケージ

EUエネルギー・気候変動政策パッケージ ~3つの20~
  • 2020年までに温室効果ガス排出量を1990年比で20%削減
  • 2020年までに最終エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合を20%にする
  • 2020年までにエネルギー効率を20%引き上げる

EUはこれまでに建築物の性能、コージェネレーション(熱電併給)システム、家電機器などのエコデザイン、エコ製品へのラベリングなどさまざまな省エネルギー政策を導入しています。「Energy2020」においても効率的なエネルギー利用は優先課題の1つとし、建物・交通分野の省エネへの注力、産業のエネルギー効率向上による競争力強化、エネルギー供給効率の向上等をさらに進めることとしています。また、再生可能エネルギー利用促進には、戦略的産業の育成という側面があります。世界で最も早く風力発電に力を入れ始めたデンマークやオランダの風力産業は、世界の先駆けとなりました。デンマークのVestas社は現在世界の風力発電市場でトップのシェアを占め、オランダでもLagerway Windなど有名な風力タービンメーカーが活躍しています。また、欧州では風力だけでなく太陽光発電、次世代自動車開発といった分野においてもドイツを中心に技術開発への取組が進んでいます。

また、全体的な傾向として、EUを始め欧州全体では、固定価格買取制度(電気事業者に対して、国の定める価格・期間での再生可能エネルギー由来の電気の調達を義務付ける制度)の導入国がRPS制度義務(電気事業者に対して、一定量の再生可能エネルギー由来の電気の利用を義務付ける制度)の導入国より多くなっています。固定価格買取制度のような買取価格への優遇制度は1970年代における米国の例をはじめとして、欧州では1980年にスペインで導入されたのが最初です。固定価格買取制度は、再生可能エネルギーの導入拡大を強力に促進する一方、電気の需要家から電気料金の形で買取費用を回収する制度であるため、電気料金の上昇の抑制や、発電コストの低減等を勘案し、たとえば最近では2009年にスペインやドイツにおいて買取価格の見直しが行われています。

一方、RPS制度義務は1991年にスイスにおいて試みられたのが最初であり、最近では英国、デンマーク、スウェーデン、イタリアなどでも採用されています。

原子力政策については、欧州内でも国ごとに違いがありますが、3月11日の東日本大震災を受けて、3月25日の欧州理事会(European Council)では、欧州内の原子力利用国において、ストレステストとその初期評価を本年末までに実施することや、欧州の近隣国及び諸外国においても、同様のストレステストの実施することを求めることが決定されました。また、「原子力安全の最高の基準がEUにおいて実施・改善されると同時に、国際的に推進される必要がある」と発表しました。

5月25日には、ECと欧州原子力安全規制当局会議(ENSREG)が、上記ストレステストに関する範囲と手法について、自然災害に加え、テロや飛行機衝突といった人的事故の影響も含む等の合意に至り、6月1日から、テストが開始されています。

(2) フランス

フランスは、国内のエネルギー資源に乏しく、1970年代のオイルショック以降、エネルギー自給率の向上と安定供給の確保に主眼を置き、原子力産業拡大政策を行っています。

現在のフランスのエネルギー政策の基本方針は、2005年に定められた「エネルギー政策指針法」によって定められています。「エネルギー政策指針法」では、フランスの今後30年間のエネルギー政策として、①2050年までに温室効果ガスを75%削減すること、②最終的なエネルギー効率を2015年までは毎年平均2%以上、2015年~2030年には毎年平均2.5%改善すること、③エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合を2010年までに10%高めること、④2020年に向けた原子力発電オプションを維持すること(2015年を目処にEPR(欧州型加圧軽水炉)の商業運転技術的検証を完了させる等)などが掲げられています。

再生可能エネルギーの政策については、2009年6月に公布された「EU再生可能エネルギー促進指令」が、自国最終エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合を2020年までに23%とする目標を義務付けています(2010年現在12.5%)。この目標を達成するために、2010年6月に発表した「National Renewable Energy Action Plan」では、2010年現在15.5%の再生可能エネルギー電力の割合を2020年までに27%とする計画を掲げています。

【第122-2-3】フランスのエネルギー政策の主要な方針

主要方針
  • エネルギー自給と供給保障
  • 割安で競争力のあるエネルギー価格
  • 地球温暖化対策
  • 全国民に対する平等なエネルギー供給
具体的な取り組み
  • エネルギー需要の抑制
  • エネルギー源の多様化
  • エネルギー分野における研究開発
  • エネルギー輸送・貯蔵

【第122-2-4】フランスの再生可能エネルギーの導入目標
(左:設備容量、右:発電電力量)

(出所)
EC National Renewable Energy Action Plan

原子力政策については、オイルショックを契機に「原子力こそがフランスの将来を支えるエネルギー源である」として、原子力発電に対する投資を促す計画が1974年に発表され、原子力発電の強力な推進がはじまりました。2008年時点で原子力は全体の電源構成の77.1%を占めるようになりました。これは他の先進国と比べて極めて高い水準です。

3月11日の東日本大震災を受けて、フィヨン首相は、電源喪失、冷却機能喪失に着眼した安全性の検討を行い、検討結果を本年末目処に発表することを指示しました。3月31日に訪日したサルコジ大統領は、温室効果ガスの削減のためには、原子力発電が不可欠である旨を発言しました。

(3) ドイツ

ドイツは、欧州最大の一次エネルギー消費国ですが、豊富な石炭資源を背景に、エネルギー自給率は40%程度に達する高い自給率を維持しています。

ドイツのエネルギー政策の基本方針は、①安定供給の確保 ②自由競争による適切なエネルギー価格の確保 ③環境問題への取組み、の3点です。

【第122-2-5】ドイツのエネルギー政策の基本方針

エネルギーの安定的確保
①供給の安定化:ロシア等資源国との戦略的な関係の構築。
②供給源の多様化:供給源を中東、北アフリカ及びカスピ海に拡大。
③供給ルートの分散化:エネルギー資源産出国、パイプラインの通過国らとの関係強化。
④エネルギー源の多様化:再生可能エネルギーの利用の推進。
⑤エネルギー効率の向上:2020年末までに1990年比で2倍に向上。
自由競争による適切なエネルギー価格の設定
①市場競争原理の導入促進:電力・ガス市場自由化により、公正な競争環境を確保。
②過剰な補助金の廃止:石炭産業向け補助金の段階的廃止。再生可能エネルギーの買取り価格の見直し。
環境問題への積極的取り組み
①経済性のある再生可能エネルギーの開発:研究開発への積極投資。
②国際再生可能エネルギー機関(IRENA)設立。
③脱原子力政策の維持:計算上2021年までの段階的原子力発電廃止政策の維持。
④国際的貢献:地球環境問題への積極的取組み。

ドイツは近年、再生可能エネルギー利用を進めていますが、石炭や原子力を代替するまでには至っていません。2008年時点においても、石炭は一次エネルギー供給の25%、電力供給の46%を担う基幹エネルギーとなっています。石炭利用の継続は、エネルギー安全保障の観点では望ましいものの、地球環境問題との調和を図る必要性から、石炭の高効率発電技術やCCS(二酸化炭素回収・貯留)技術の開発に取り組んでいます。

再生可能エネルギーの政策については、2009年6月に公布された「EU再生可能エネルギー促進指令」が、自国の最終エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合を2020年までに18%とする目標を義務付けています(2010年現在15%)。また、電力消費量に占める再生可能エネルギーの割合を、現在の17%から2020年の35%に拡大することを含む「エネルギー・コンセプト」を2010年9月に発表しました。具体的施策として、コスト削減ポテンシャルの高い太陽光発電の拡充、洋上風力発電の重点的拡充(リスクの高い最初の10機の建設に対して財政支援を行うとともに、許認可手続きの円滑化、排他的経済水域の利用計画見直しを検討)、持続的で効率の高いバイオエネルギー利用の継続・拡大(税制上の優遇措置や、食料と競合しない第2世代バイオ燃料の研究開発支援を検討)等を提示しています。ドイツ政府が2010年6月に欧州委員会に提出した「National Renewable Energy Action Plan」によれば、計画の柱は、太陽光の大幅拡充と共に洋上・陸上風力の拡充としています。

【第122-2-6】ドイツの再生可能エネルギーの導入目標
(左:設備容量、右:発電電力量)

(出所)
National Renewable Energy Action Plan

再生可能エネルギーの導入を促進するべく、ドイツでは固定価格買取制度を、1991年から導入しました(2004年再生可能エネルギー法として拡充)。

【第122-2-7】再生可能エネルギー電気の導入状況

(出所)
ドイツ連邦環境省(BMU)「Renewable energy sources in figures - national and international development」

その後、太陽光発電設備の価格低下が政府想定を上回る速さで進み、それに対応した買取価格の改定がなされない中、スペインの買取価格引下げの影響もあり、1年間に数GWの太陽光発電設備が系統連系されました。再生可能エネルギーの導入拡大を受け、政府は、固定価格買取制度による負担の動向や発電コストの低減等を勘案して、本年2月に当該制度の買取価格の引下げを閣議決定するなど、導入促進策の見直しを実施しています。

原子力政策については、2002年の原子力法の改正で、原子力の段階的廃止が決定され、新規原子力発電所の建設禁止や、原子炉の運転期間を原則32年とするなど、脱原子力政策に転換されましたが、2010年には①エネルギー安全保障の観点から輸入依存度の低減が必要なこと、②経済性の観点から安価で競争力のある電力供給が求められていること、③地球温暖化問題への対応から二酸化炭素削減を進めていかなければならないこと、等から原子力廃棄方針の見直しが行われ、既存の原子力発電所の運転延長を認める法案が可決されました。しかし、3月11日の東日本大震災を受けて、6月6日には、連邦政府は脱原発を規定する原子力基本法の改正及び再生可能エネルギーの促進を規定する改正再生可能エネルギー法等10本の法案について閣議決定し、脱原子力政策の方針が強固なものになりました。

【第122-2-8】震災後のドイツの原子力政策の動向

3月 ドイツ政府は、国内原発の稼働年数を延長する計画を3カ月間凍結する考えを発表。
ドイツ政府は、1980年までに建設された原子力発電所は、停止すると発表。4月1日、電力会社RWE社は、この決定に反対する訴訟を提起。
バーデン・ビュルテンベルク州選挙で緑の党躍進。
4月 連邦首相府にて開催されたエネルギーサミットにて、連邦政府及び州は、より早急な脱原発へ向かい、再生可能エネルギーへ転換する意向を発表。連邦政府は、6月に一連の法案可決を目指す。
日本の原発事故を受け、メルケル首相主導で設立された「安全なエネルギー供給のための倫理委員会」開催(同委員会は5月28日に最終報告書発表。今後10年以内の脱原発を報告)
5月 メルケル首相は、レトゲン環境大臣及びポファラ首相府長官らと会談した際、脱原発の影響で不足する電力量を火力発電で補うこと、国内の火力発電所を建設する場所につき確認した。
ドイツ北西部ブレーメン州議会選挙で、反原発を掲げる「緑の党」がキリスト教民主同盟を抜いて第二位に浮上。
6月 連邦政府は脱原発を規定する原子力基本法の改正及び再生可能エネルギーの促進を規定する改正再生可能エネルギー法等10本の法案について閣議決定。日本の原発事故を受けて稼働停止した原発7基及びクリュンメル原発は今後も停止。2020年までに太陽、風力による電力消費は35%になる見通し(現在7%)(連邦政府プレスリリース)。

(4) 英国

英国は、主に北海において石油・天然ガスを生産しており、2008年時点で、石油の生産量は世界全体の1.8%、ガスの生産量は同2.3%を占めています。ただし、近年は、石油・天然ガスの生産量が減少傾向にあり、再生可能エネルギーの導入の強化が行われています。

再生可能エネルギー政策については、2009年6月に公布された「EU再生可能エネルギー促進指令」が、自国の最終エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合を2020年までに15%とする目標を義務付け(2010年現在3%)ています。

【第122-2-9】英国の再生可能エネルギーの導入目標(左:設備容量、右:発電電力量)

(出所)
EC National Renewable Energy Action Plan

2010年6月発表の「National Renewable Energy Action Plan」によると、上記目標を達成するために、電力における再生可能エネルギーの割合を、2010年の9%から2020年までに31%にまで拡大する方針を示しています。計画の柱は、風力の大幅拡充であり、洋上風力は現状の約9倍、陸上風力は現状の約4倍を見込んでいます。とりわけ、目標達成の可否は洋上風力の拡充に負うところが大きく、現行の計画では2020年までに約12GW建設して、合計で約13GWとする計画ですが、政府諮問機関が、「現状の高コストでは不確実性が高く、導入計画の下方修正もあり得る」と表明しています。

【第122-2-10】再生可能エネルギー電気の導入状況

(出所)
エネルギー・気候変動省(DECC)「Digest of United Kingdom energy statistics 2009」

英国は2002年からRPS制度を採用しています。2009年4月より、新たな技術である洋上風力、波力、太陽光発電等に対する支援を引き上げ、確立技術であるバイオマス等への支援を引き下げる、エネルギー源毎の支援レベルの差異化を導入しました。

また、2008年11月「エネルギー法2008」において、小規模の再生可能エネルギー発電を促進するための財政支援措置を導入する権限をエネルギー・気候変動大臣に付与するとともに、小規模の再生可能エネルギー発電を支援するため、固定価格買取制度が2010年4月より導入されました。

買取制度については、政府の想定以上にメガソーラー発電所の建設が計画され、費用負担の増大が懸念されたことから、50kW以上の太陽光発電の買取価格を本年8月1日から最大72%引き下げました。制度導入時に政府が発表していた見直し時期(2012年度)を前倒しての買取価格引下げに対して、メガソーラー建設事業者は訴訟の意思を表明している状況です。

従来原子力は、「将来においてその可能性を否定しない」という位置付けでしたが、「エネルギー白書2007」において、電力の安定供給や温室効果ガスの排出削減には原子力発電の利用拡大が必要であり、原子力発電所新設に向けた推進方針が明確に示されました。

東日本大震災後も、英国においては、マグニチュード9の地震や津波等、今回の原発事故の直接の原因となった事態は、英国では想定しにくいこと、従って英国において原発を制約する理由はないこととし、原子力安全のための更なる改善は進めるものの、原子力政策の方針は変更されていません。

(5) イタリア

イタリアは国内資源は若干であり、エネルギー供給を輸入に依存しているため、エネルギー安全保障の確保が重要な課題となっています。

イタリアのエネルギーに関する基本政策は、国家エネルギー計画として公表されており、現行の第4次PEN(Piano Energetico Nazionale)(1991年施行)では①省エネルギーの促進、②環境の保全、③国内エネルギー資源の開発、④エネルギー資源の多様化、⑤エネルギー価格引き下げによる産業の競争力向上を5大目標としています。

再生可能エネルギーの政策については、2009年6月に公布された「EU再生可能エネルギー促進指令」が、最終エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合を2020年までに17%とする目標を義務付けています。2010年6月発表の「National Renewable Energy Action Plan(国家再生可能エネルギー計画)」によると、上記目標を達成するために2010年時点で約19%の再生可能エネルギー電力の割合を、2020年までに約26%とする計画です。同計画では太陽光の拡大を主力に据えると共に、バイオマスと陸上風力の貢献を見込んでいます。固定価格買取制度を導入していますが、再生可能エネルギーの導入拡大に伴い費用負担が急増してきています。

【第122-2-11】イタリアの再生可能エネルギーの導入目標
(左:設備容量、右:発電電力量)

(出所)
EC National Renewable Energy Action Plan

イタリアでは、1986年のチェルノブイリ事故前までは、原子力発電の利用推進によるエネルギー安全保障の確保を目指していましたが、事故を受けて、1987年に国民投票で原子力発電廃止を決定しました。しかし、近年のエネルギー価格高騰やエネルギーセキュリティ懸念の高まりを背景に、原子力発電再開の議論が起こり、原子力発電の導入を主張していたベルルスコーニ政権が2008年に発足したことにより、再び原子力発電が計画されることとなりました。2009年7月、上院で原子力エネルギー再導入に関する法案が承認され、2013年までに原子力発電所を建設するという政府の見解が示されました。

しかし、東日本大震災を受け、国民投票の結果、原子力エネルギー再導入に関する法案を廃案とする事が、廃止賛成94.15%で可決されました。エネルギー自給率が低いイタリアでは、原油価格の高騰に伴い、国内電気料金の上昇が続いており、国際的にも最高レベルの電気料金です。エネルギーセキュリティの確保とエネルギー価格の安定化が今後の課題になります。

【第122-2-12】震災後のイタリアの原子力政策の動向

3月 閣議でイタリア政府は原子力発電所の建設地選定や建設に関わる全ての手続きを1年間休止することを決定。
4月 3月23日に決定した原子力1年間モラトリアム(上記参照)について、政府は、モラトリアム期間を無期限に修正。
仏伊首脳会談の後、ベルルスコーニ首相は、原子力は、最も安全なエネルギーであると発言。
6月 破棄院(最高裁に相当)は、原子力エネルギー再導入計画の無期限凍結に関しても、他の案件同様に国民投票にかけるべきと採決。ベルルスコーニ首相は、「原子力発電がなければ、電気代はフランスより40%以上高くなるだろう。」と危惧を表明。
原子力エネルギー再導入の是非を問う国民投票の結果、賛成94.15%で原子力エネルギー再導入に関する法案の廃案可決。

(6) アメリカ

アメリカは豊富な国内資源が存在していましたが、石油消費量が大幅に増加し、1947年以降、石油輸入国に転じました。エネルギー輸入依存度の上昇とエネルギー価格高騰に対し、オバマ政権では、省エネルギーや原子力やクリーンコールを含むクリーンエネルギーの推進により、エネルギー安全保障を強化する方針がとられています。これら一連の政策を「グリーン・ニューディール」と呼び、地球環境問題を含めたエネルギー安全保障を確保しつつ、アメリカ経済の振興も達成する重要な柱と位置づけています。

2009年12月に開催された国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)では、オバマ大統領は2020年までに2005年比17%削減目標を提示し、2010年1月には、「国内法の成立を条件として42020年までに2005年比17%削減」の目標を気候変動枠組み条約事務局に提出しました。

【第122-2-13】アメリカの再生可能エネルギーの導入目標
(左:設備容量、右:発電電力量)

(出所)
EIA, Annual Energy Outlook 2011, Table A16

特に、原子力発電やクリーンコールを含むクリーンエネルギーを重視しており、クリーンエネルギー経済を作り、将来の雇用を創出することを目指しています。具体的には、2035年までに米国電力の80%をクリーンエネルギー由来とする等の目標を掲げています。2011年1月25日に公表した、2011年における政策方針のまとめとなる、大統領一般教書演説では、クリーンエネルギーのイノベーションのコストを支援するために、化石燃料に対する公的資金による支援を廃止する旨が記載されており、石油・ガスおよびその他の化石燃料製造業に対する年間約40億ドルの補助金を停止するように求めています。

連邦政府としては再生可能エネルギー全体の導入に関する数値目標はないものの、2008年にエネルギー省が、2030年までに電力需要の20%を風力で賄うシナリオ(2030年までに累積で約300GWの風力発電を導入)を発表しました。この場合、化石燃料費の削減効果を考慮しても、ベースケースより430億ドル(2006USD)のコスト増となるとの分析結果があります。

再生可能エネルギーの導入を進めるべく、アメリカでは、30の州・特別区において、RPS制度(州法)が導入されています(2011年2月)。

さらに2009年6月26日に、連邦RPS制度の条項を含む「米国クリーンエネルギー・安全保障法案」が米国議会下院を通過しましたが、その後進展がない状況です。また、「2009年米国回復・再投資法」により、再生可能エネルギー(風力、バイオマスなど)の生産税額控除(PTC:Renewable Electricity Production Tax Credit)が実施されていると共に、本税額控除の代わりに「ビジネス・エネルギー投資税額控除(ITC:Business Energy Investment Tax Credit)」または、再生可能エネルギー発電設備に対する「再生可能エネルギー補助金」のいずれかを受給することも可能となりました。

一方、米国において再生可能エネルギーの導入に大きく寄与しているのは州レベルの導入支援策です。2030年33%の目標を設定したカリフォルニアを始め30の州・特別区において、RPS制度(州法)が導入されています(2011年2月)。

アメリカは世界で最も多くの原子力発電所を保有する国であり、1974年のスリーマイル島原子力発電所事故までは原子力利用の推進が行われていました。事故以降現在まで新規原子力発電所の建設が行われていなかったものの、エネルギー自給率の拡大、温暖化への対応の観点から、2009年10月に27件の新規建設計画が発表されました。

東日本大震災後は、国内の全ての原発の安全規制を再評価するためのタスクフォースを設置し、安全性の確保について議論されている中、3月30日にジョージタウン大学で行った講演の際、オバマ大統領から、二酸化炭素を排出しない原子力発電は、重要であることが表明され、原子力利用の方針に変更は生じていません。

(7) 中国

中国は化石エネルギー資源などを豊富に有しており、石炭の埋蔵量は世界第3位であり、中国のエネルギー供給の主力となっています。また、1949年の建国以降、中国は「自給自足」すなわちエネルギー自給率100%を目標に掲げて、エネルギー産業を育成し化石エネルギー資源の本格的な商業生産を進めました。そのため、長い間、原油を始めとする化石エネルギーの輸出国でもありました。

しかし、工業化の進展、特に90年代以降の経済発展によるエネルギー需要急増のため、エネルギーの輸入依存が強まっています。IEAの分析では、2035年には2008年時点のエネルギー消費量から約2倍に増加する見込みです。90年代に原油の純輸入国に転じたことをきっかけとして、中国では、エネルギー安全保障が重視されるようになりました。2007年に発表された、第11次5カ年計画(2006~2010年)では、以下のような原則を打ち出しました。

【第122-2-14】第11次5カ年計画の原則

  • 省エネルギーを優先する。
  • 国産エネルギー供給に立脚する。
  • 石炭資源を基礎とすること。
  • エネルギー源多様化を図る。
  • 需給構造の最適化を図る。
  • 国際協力を推進する。
  • 安定的・経済的・クリーン・安全なエネルギー供給体制を構築する。

再生可能エネルギー政策については、2008年に、「再生可能エネルギー発展に関する第11次5カ年規格(2006~2010年)」を発表し、2010年には2005年の2倍近く拡大、エネルギー消費の10%になる目標を掲げています。風力発電、バイオマスを中心とした拡充を見込んでいます。

原子力政策については、第11次5カ年計画においても積極的に促進することが強調されており、2020年には原子力発電設備容量を86GW(2009年時点9.1GW)とする目標を掲げ、新規建設等が進められていました。

東日本大震災後、温家宝主席は、6月14日の定例会見において、新規建設計画の審査を一時中止し、中国内の全ての原子力発電施設に対する安全検査を開始し、運転中の施設に対する安全管理の強化を指示しました。一方で、洪磊・外務副報道局長は、多くの国にとって、原発は依然としてエネルギー不足や地球温暖化に対応するための重要な選択肢の一つであると発言し、原子力利用の重要性を訴えています。

(8) 韓国

韓国の主要なエネルギー源は無煙炭、石油、天然ガス、水力ですが、いずれも埋蔵量や包蔵水力が極めて少なく、エネルギー供給のほとんどを輸入に依存しています。政府はエネルギーの安定供給を目指し、国内での天然ガス等の資源開発を進める他、輸入相手国の多様化や海外での資源開発を積極的に推進してきました。併せて、エネルギーの効率的利用を促進するとともに、昨今では、再生可能エネルギーの開発も進めています。

2006年3月には「エネルギー基本法」に基づき、20年を計画期間として5年ごとに長期エネルギー戦略「国家エネルギー基本計画」を策定することが決まりました。

2008年8月、そのエネルギー基本法制定後初の国家エネルギー基本計画を、大統領を委員長とする国家エネルギー委員会の第3回会合において制定しました。この計画において、2030年までの目標を以下のように掲げ、原子力発電と再生可能エネルギーの大幅な拡大を掲げました。

【第122-2-15】国家エネルギー基本計画の目標

  • エネルギー原単位を現在の0.341 TOE/1000ドルGDPから2030年までに0.185(同)に46%改善
  • 石油を含めた化石エネルギー比率(一次エネルギー基準)を現在の83%から2030年までに61%へ縮小し、再生可能エネルギー比率は現在の2.4%から2030年までに4.6倍の11%へ、原子力は現在の14.9%から同27.8%へ、それぞれ拡大
  • 「グリーン技術」などのエネルギー技術のR&D予算を拡大し、主要技術の選定、開発、導入を促進
  • 石油・天然ガスの自主開発率を現在の4.2%から2030年までに40%に拡大

東日本大震災後の3月16日、崔知識経済部長官は、国内の原子力発電所の検査を始めるとしながらも、崔知識経済部長官は、原子力計画(2030年までに発電量シェア59%)を放棄しないとの方針を表明しました。

原子力発電については、設備利用率が日本は63.3%であるのに対して、韓国は91.1%となっており、原子力発電のより経済的な利用が達成されています。

日本と同様、輸入エネルギーに依存する構造ですが、電気料金は、為替レート換算では日本の1/3倍程度と割安になっています。

この理由は、寒冷な気候等により、負荷率5が70%台後半と高く、効率的な電源運用が可能となっていることが考えられますが(我が国は60%台)、韓国電力は政府出資比率51%の半国営会社であり、電気料金が政策的料金と位置づけられているため、韓国の電気料金水準は政策的に低く抑制されていることも要因です(韓国電力公社は、原料費上昇下、十分な価格転嫁ができなかったため、2008年から2年連続営業赤字を計上し、2008年には公的資金による補填も受けています)。

(9) インド

インドは中国と同様にエネルギー需要量が急増しており、2035年には2008年の2.5倍のエネルギーを需要する見通しです。インドの経済発展を持続するためには、適正な価格で必要とされるエネルギーを入手することが重要です。インドのエネルギー政策の基本方針は第11次5カ年計画に示されており、主要な基本課題、省エネルギー、エネルギー利用の効率化、再生可能エネルギーの開発、エネルギー価格の合理的な設定の重要性が強調されています。

【第122-2-16】インドのエネルギーの基本方針

①電力の生産拡大と州の配電部門の改革

②石炭の増産、輸入炭増加に必要なインフラ整備

③探鉱の強化と海外石油開発権益の取得、LNG輸入の増加、石油製品のプライシングの合理化

④エネルギー部門構造改革・規制緩和の実施

⑤需要サイドの管理による省エネルギー/エネルギー効率化

⑥技術開発

⑦環境対策

⑧統合的なエネルギー・アプローチ

再生可能エネルギーにおいては、新・再生可能エネルギー省という独立した省が存在しているように国としての取り組みを重視しています。バイオマスの利用が伝統的に盛んですが、近年では風力の導入とともに関連する産業も発展してきました。さらに、太陽光発電においても国家プロジェクトを立ち上げるなど意欲的に取り組んでいます。

インドの原子力政策は国内に豊富なトリウム資源があることから、資源の有効利用とエネルギー・セキュリティーの向上のためトリウムサイクルによる原子力利用を基本としてきました。しかし、経済発展に伴う電力不足に対応するため、独自開発を進めてきた比較的発電容量の小さな重水炉ではなく、軽水炉を含む諸外国の技術を用いた容量の大きな原子炉を建設することが喫緊の課題となっており、また、国産ウランだけでは現状以上の発電を行うことも困難となりつつあります。

2008年9月、原子力供給国グループはウイーンでの総会で核拡散防止条約に未加盟のインドを核分野の輸出規制の「例外扱い」として、禁輸措置を解除することを全会一致で承認しました。インドは需要の拡大する電力の安定供給に向けて原子力発電施設の整備を急いでおり、原子力供給国グループによる承認以来、技術移転やウラン燃料の安定確保に向けて各国との協力体制の構築を推し進めています。

2010年6月には、日本とインドの間で日印原子力協定交渉が開始されました。

3月14日シン首相は、議会への演説の中で、同国の原子力発電所が津波や地震のような大規模自然災害の衝撃に確実に耐え得るようにするため、同国の原子力発電所の安全システムを技術的にレビューすると述べました。また、政府高官は地球温暖化防止やエネルギー効率の観点から、原子力が有益なことに変わりはなく、日本との原子力協定について、今後も合意を目指して議論を続けたいと述べています。

4
オバマ政権は、米国内の法的拘束力を持つ排出削減目標(2020年までに排出量を2005年比で20%削減する)として、下院で、2009年6月に「米国クリーンエネルギー・安全保障法案」が本会議で可決されました。上院では11月に環境・公共事業委員会が「クリーンエネルギー公用・米国電力法案」を可決しましたが、その後審議は膠着状況になっています。
5
負荷率:ある期間中の負荷の平均需要電力と最大需要電力の割合。負荷率が高いほど、設備が有効利用されているということになる。