第1節 エネルギー需要の概要

1.エネルギー需給の動向

エネルギー消費の規模は、生活や経済活動の水準によって決まる一方で、生活や経済活動がエネルギーによって支えられ、あるいは、制約を受けるという相互関係にあります。このため、経済発展につれて、エネルギー消費も増加するのが一般的です。 我が国のエネルギーの需要(最終エネルギー消費)と供給(一次エネルギー総供給)を見てみると、経済の規模(GDP)が小さい頃は需要・供給ともに小さく、経済規模が拡大するにつれて需要・供給ともに増大していきました(第211-1-1)。エネルギーは、原油や石炭、天然ガス等といった元々の形で国内へ供給され(一次エネルギー総供給)、ガソリンや電気、都市ガス等といった使い勝手の良い二次エネルギーへ転換されて、消費者に利用されます(最終エネルギー消費)。したがって、一次エネルギー総供給と最終エネルギー消費の乖離は、エネルギー転換の際のロス(転換損失)を示しています。一次エネルギー総供給に占める転換損失の割合は、かつては35%程度もありましたが、近年は30%程度にまで小さくなっています。これは発電や精製、乾留といったエネルギー転換技術の効率性が改善されたためと考えられます。

2.エネルギー消費の動向

我が国のエネルギー需要は、1970年代までの高度経済成長期には、国内総生産(GDP)よりも高い伸び率で増えてきました。しかし、1970年代の2度にわたる石油ショックを契機に産業部門での省エネルギー化が進むとともに、省エネルギー型製品の開発も盛んになりました。このような努力の結果、エネルギー需要をある程度抑制しつつ経済成長を果たすことができました。しかし、1980年代後半からは、石油価格の低下に加え、快適さ・利便性を求めるライフスタイル等を背景にエネルギー需要は再び増加に転じています(第211-2-1)。

部門別にエネルギー消費動向を見ると、石油ショック以後、産業部門がほぼ横ばいで推移する一方、民生・運輸部門がほぼ倍増しています。その結果、産業・民生・運輸のシェアは石油ショック当時の4対1対1から2005年度には2対1対1と変化しています※1。また、1990年度から2005年度までの伸びは、産業部門が1.0倍、民生部門が1.4倍、運輸部門が1.2倍となっており、産業部門は近年横ばいになっています。 このように日本全体のエネルギー消費量は、増加を続けていますが、同じ規模のGDPを創出するのに必要な一次エネルギー量を見てみると、海外諸国と比較して少ないことがわかります。日本は、世界第2位の経済大国ですが、この経済活動はより少ないエネルギー量で維持されており、最もエネルギー利用効率の高い国の1つとなっています(第211-2-2)。

特に、急激な経済成長を遂げている中国やインドと比べ、我が国のエネルギー利用効率はかなり高くなっています。また、一人当たりの一次エネルギー量は、米国よりは少なく、欧州と同水準にあります((第122-2-9)各国の一人当たり一次エネルギー供給量(2004年)の比較 参照)。

※1: 総合エネルギー統計は、1990 年度以降の数値について算出方法が変更されたため、その前後の比較にあたっては留意する必要があります(以下、総合エネルギー統計に係る比較について同じ)。

3.エネルギー供給の動向

国産石炭が価格競争力を失う中、我が国の高度経済成長期をエネルギーの面で支えたのが、中東等で大量に生産されていた石油です。我が国は安価な石油を大量に輸入し、1973年度には、エネルギー供給の77%を石油に頼っていました。しかし、第四次中東戦争を契機に1973年に発生した第一次石油ショックによって、原油価格の高騰と石油供給断絶の不安を経験した日本は、エネルギー供給を安定化させるため、石油依存度を低減させ、石油に代わるエネルギーとして、原子力、天然ガス、石炭の導入を促進しました。再び原油価格が大幅に高騰した第二次石油ショック(1979年)は、原子力、天然ガス、石炭の更なる導入の促進、新エネルギーの開発を加速させました。

その結果、石油依存度は、2005年度には、48.9%と第一次石油ショック時(77%)から大幅に改善され、その代替として、石炭(20.5%)、天然ガス(13.8%)、原子力(11.3%)の割合が増加するなど、エネルギー源の多様化が図られています(第211-3-1)。

しかしながら、主要国と比較した場合、日本の石油依存度は依然として高く、また、石油の供給地域に関しては、中東への依存度が近年、再び高まっています(第211-3-2)(第213-1-3「原油の輸入量と中東依存度の推移」参照)。

なお、二次エネルギーの一つである電気は安全でクリーンなため使いやすく、家庭用及び業務用を中心にその需要は増加の一途をたどっています。電力化率※2は、1970年度には12.7%でしたが、2005年度では22.0%に達しています。

※2:電力化率:最終エネルギー消費量に占める電力消費量の割合

4.エネルギー自給率の動向

生活や経済活動に必要な一次エネルギーのうち、自国内で確保できる比率をエネルギー自給率といいます。高度経済成長期にエネルギー供給量が大きくなる中で、石炭から石油への燃料転換が進み、石油が大量に輸入されるとともに、1960年には57%であった石炭や水力等国内の天然資源によるエネルギー自給率は、それ以降大幅に低下しました(第211-4-1)。

石油ショック後導入された天然ガスや原子力の燃料となるウランは、ほぼ全量が海外から輸入されているため、2004年のエネルギー自給率は水力等わずか4%です。なお、原子力の燃料となるウランは、エネルギー密度が高く備蓄が容易であること、使用済燃料を再処理することで資源燃料として再利用できること等から、資源依存度が低い「準国産エネルギー」と位置付けられています。石油ショック後、原子力の導入が促進された結果、「準国産エネルギー」を含むエネルギー自給率は2004年には約18%となっています※3。

※3:ここでの自給率の値は、国際エネルギー機関(IEA)による推計です。なお、我が国の総合エネルギー統計によれば、2005年度の自給率(=国内産出/総供給)は6.2%であり、原子力を含めると17.5%になります。