第2節 省エネルギーの推進

1.省エネルギー対策の推進について

省エネルギー対策は、エネルギー安定供給確保と地球温暖化防止の両面に資するものであり、加えて、省エネルギーに資する機器の開発や関連の投資、新規産業の創出の喚起を通じた経済活性化の効果ももたらすものであることから、「環境と経済の両立」の実現に資することが期待されます。

我が国は、石油ショック以降、省エネルギーが世界との比較においても相当進んでいます。近年、運輸部門のエネルギー消費は横ばいから減少といった抑制傾向にありますが、民生部門のエネルギー消費は引き続き増加傾向にあり、両部門のエネルギー消費量は第1次石油ショック当時と比べてそれぞれほぼ倍増しています。このため、世界の模範となる省エネルギー国家として、民生・運輸部門における省エネルギー対策を強化することが必要です。なお、近年、ヒートアイランド現象が都市における環境問題とされていますが、省エネルギー対策は、ヒートアイランド現象の原因の一つである人工廃熱の低減に寄与することから、このような観点からも省エネルギー対策の推進が重要となっています。

省エネルギーはエネルギー関連機器の効率化やエネルギー関連産業の取組だけで達成できるものではありません。エネルギー需要対策を考えるに当たっては、これまでの大量エネルギー消費型の経済・社会構造の転換を図り、資源節約型の経済・社会構造の形成に向けた取組を進める必要があります。特に民生・運輸部門におけるエネルギー需給構造を変えるためには、自動車交通流の改善や環境・エネルギー負荷の小さい街づくり、モーダルシフト、物流の効率化、公共交通機関の利用促進、エネルギーを浪費しないような国民各層のライフスタイル形成等の施策を長期的な視点に立って進めていくことも必要です。

2.これまでの政策の変遷

我が国の省エネルギー政策は石油ショックを契機としてスタートしています。1970年代の2度の石油ショックにより、我が国の経済は大きな影響を受け、省エネルギーの重要性が認識されるとともに、法制度の整備や各種支援等の省エネルギー政策を推進することとなりました。

まず、法制度については、第二次石油ショック直後の1979年に「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(以下「省エネ法」という。)を制定・施行しました。省エネ法は、各分野での省エネルギーを総合的に進めるために、それぞれの分野において事業者が取り組むべき内容とそれを支援する施策を定めたものです。省エネ法については、その後の国内外のエネルギーをめぐる経済的・社会的環境の変化に対応するため、1993年に改正し、省エネルギーに関する基本方針の策定や、エネルギー管理指定工場に係る定期報告の義務付け等を追加しました。また、1997年に京都で開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)の結果を受けて1998年に改正し、自動車の燃費基準や電気機器等の省エネルギー基準へのトップランナー基準の導入、大規模エネルギー消費工場への中長期の省エネルギー計画の作成・提出の義務付け、エネルギー管理員の選任等による中規模工場の対策などを追加しました。

更に、エネルギー消費の伸びが著しい民生・業務部門における省エネルギー対策の強化等を目的として、2002年6月に省エネ法を改正し、大規模オフィスビル等への大規模工場に準ずるエネルギー管理の義務付け、2,000g以上の非住宅建築物への省エネルギー措置の届出の義務付けを行いました。その後、2005年2月の京都議定書の発効を受け、特に運輸部門等における省エネルギーを進めるため、2005年8月に省エネ法を改正し、2006年4月から施行しました。改正の主な内容は、工場・事業場における熱と電気の一体管理の推進、大規模な輸送事業者及び荷主に対する定期報告及び計画の作成・提出の義務付け、建築物における省エネルギー措置の届出の義務の対象拡大等です。

一方、省エネルギー関連技術開発については、1978年に通商産業省工業技術院(現独立行政法人産業技術総合研究所)において「ムーンライト計画」がスタートしました。この計画では、エネルギー転換効率の向上、未利用エネルギーの回収・利用、エネルギー利用効率の向上等エネルギーの有効利用を図る技術の研究開発を目的として、大型省エネルギー技術及び先導的・基盤的省エネルギー技術開発、民間における省エネルギー技術の研究開発への助成等が推進されました。1993年、「ムーンライト計画」は、第一次石油ショック直後の1974年に発足した新エネルギー関連技術開発に関する計画である「サンシャイン計画」と統合され、「ニューサンシャイン計画」として引き続き省エネルギー技術の研究開発を推進することとなりました。また、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)等の関係機関・団体を通じた技術開発も併せて行っています。

このような省エネルギー政策の成果もあり、産業部門を中心として大幅な省エネルギーが進められ、製造業のエネルギー消費効率は大きく改善しています。

民生部門及び運輸部門においては、個別のエネルギー消費機器に関しては、エネルギー消費効率の改善が進みましたが、両部門のエネルギー消費の絶対量自体は増大する結果となっています。近年では、運輸部門のエネルギー消費は横ばいから減少といった抑制傾向にありますが、民生部門のエネルギー消費は引き続き増加傾向にあり、両部門のエネルギー消費量は第1次石油ショック当時と比べてそれぞれほぼ倍増しているため、両部門の省エネルギー対策が必要です。

3.各部門における省エネルギー対策について

以下、産業、民生、運輸、の部門別に最近の省エネルギー政策を紹介します。

(1)産業部門

産業部門のエネルギー消費は、石油ショック以降の省エネルギー設備や技術の積極的導入と産業構造の変革によって、現時点においても石油ショック当時の水準に留まっていますが、依然として全体の5割近くを占めていることから、今後も一層の省エネルギー努力が必要です。

〔1〕大規模・中規模工場における省エネルギー対策

省エネ法に基づき、大規模エネルギー消費工場である第一種エネルギー管理指定工場に対し、エネルギー管理者の選定、将来的な省エネルギー計画(中長期計画)の作成・提出、エネルギーの使用状況の定期報告を義務付けています。また、第一種エネルギー管理指定工場について、2001年度から省エネ法に基づく基準の遵守状況について総点検を実施することにより、エネルギー使用合理化への取組の徹底を図っています。

更に、中規模エネルギー消費工場である第二種エネルギー管理指定工場に対しても、エネルギー管理員の選任義務、エネルギー管理員の資質向上講習義務、エネルギーの使用状況の定期報告を課しています。

加えて、産業部門の省エネルギー対策の必要性が増大しており、熱、電気、それぞれ固有の合理化もさることながら、工場で使用するエネルギー全体に着目して管理する省エネルギーの取組を求めることが不可欠な情勢となっていること、コージェネレーションやヒートポンプ技術などの導入が加速化し、熱と電気の相互代替が進展していることを踏まえ、2005年8月に省エネ法を改正し、熱と電気の管理の一体化を義務付けることとし、2006年4月から施行しています。

〔2〕自主行動計画の着実な実施

社団法人日本経済団体連合会においては、1997年6月に2010年の二酸化炭素排出量を対象事業全体として1990年度比±0%以下に抑制することを目標とするとともに業種別の目標も定めた「日本経団連環境自主行動計画」を公表し、自主的な取組を進めています。このような事業者による自主行動計画は成果を挙げてきており、産業・エネルギー転換部門における対策の中心的役割を果たすものです。自主行動計画の目標・内容についてはあくまで事業者の自主性に委ねられるべきものであることを踏まえつつ、自主行動計画の透明性・信頼性・目標達成の蓋然性の向上に向け、関係審議会等において定期的にフォローアップを行ってきたところであり、引き続きこうしたフォローアップを実施していきます。また、自主行動計画を未策定の事業者が、自主行動計画を策定し、特性に応じた有効な省CO2対策を講じることが期待され、とりわけ、排出量が増大している業務部門においても、事業者等の自主行動計画の策定、関係審議会等におけるフォローアップが期待されます(第122-3-1)。

【第122-3-1】経団連環境自主行動計画の概要(主要業種)

【第122-3-1】経団連環境自主行動計画の概要(主要業種)


事 例

企業等の省エネルギー投資に対する支援

エネルギー使用量が大きい企業等が省エネルギー型の設備を導入する場合に、費用の一部を補助しています(写真は、2000年度に導入された、化学工場の工程から生じる廃熱を超低圧蒸気の形で回収し、発電に利用するシステム。約4.2%(原油換算で年間約8,900kl)の省エネルギー効果があります)。

写真 企業等の省エネルギー投資に対する支援

(2)民生部門

民生部門のエネルギー消費は、石油ショック以降、一貫して増加しています。家庭部門では、機器の効率化が進む一方で、世帯数の増加や、新たな機器の普及、より快適な生活を求める国民のニーズを背景に、機器保有台数の増加や使用時間、使用条件の変化がエネルギー需要の増加要因となっています。このため、新たに普及がすすんでいる機器に着目した対策や機器のエネルギー需要を適切に管理することが必要です。

一方、業務部門においては、産業構造の変化等によるオフィスビルや商業施設等の床面積の増加がエネルギー需要の増加の主たる要因ですが、エネルギーコストが生産コストに直結する産業部門に比べ、エネルギー原単位の管理意識が必ずしも高くないことから、需要の適切な管理を行うことにより、エネルギーの効率的利用を一層図ることが必要です。

〔1〕トップランナー制度による機器効率の改善

1998年の省エネ法改正において、電気機器等の省エネルギー基準にトップランナー基準を導入して以来、随時、対象機器を追加することで、機器のエネルギー消費効率の向上を図っています。2006年度には、液晶・プラズマテレビ、DVDレコーダー、ジャー炊飯器、電子レンジを新たに対象に追加しました。さらには、2004年度に目標年度を迎えたエアコン、電気冷蔵庫・冷凍庫について、基準の見直しを検討するなど、個々の機器における対策の強化を図っています(第122-3-2)。

【第122-3-2】各種の特定機器における省エネルギー目標

【第122-3-2】各種の特定機器における省エネルギー目標

【第122-3-2】各種の特定機器における省エネルギー目標(xls形式:30.5KB)

〔2〕省エネルギーラベリング制度

消費者に対して、省エネルギー性能に関する分かりやすい情報提供を行い、商品選択の際の指標となるよう、統一的な表示制度として省エネルギーラベリング制度を2000年8月から導入しており、2006年4月現在で13機器が対象となっています(第122-3-3)。

【第122-3-3】省エネラベルのイメージ

【第122-3-3】省エネラベルのイメージ

〔3〕住宅・建築物の省エネルギー性能の向上

1999年に強化された住宅・建築物に係る省エネルギー基準(従来の基準に比べ、住宅で約20%の冷暖房エネルギー消費量、建築物で約10%のエネルギー消費量の削減に相当)を充足する住宅や建築物の普及促進のため、住宅性能表示制度の活用推進や省エネルギー基準に適合する住宅への金利の優遇や割増融資、高いエネルギー利用効率を実現するためのシステム導入助成等の支援を図っています。また、省エネ法は、従来、2,000g以上の非住宅建築物の新築等を行う場合に、省エネルギー措置を届け出るよう義務付けていましたが、住宅・建築物の省エネルギー対策を強化するため、2005年8月に同法を改正しました。この結果、2,000g以上の住宅を新築等する場合においても、省エネルギー措置を届け出るよう義務付けるとともに、これらの建築物の大規模修繕等を行う場合についても同様の届出を義務付けることとしました。

〔4〕オフィスビル等における省エネルギー対策

近年、エネルギー需要の増加傾向が著しいオフィスビルに対しては、エネルギー使用量が大きい本社屋を第一種・第二種エネルギー管理工場に指定し、産業部門の工場に準じた管理(エネルギー管理員の選任、エネルギー使用量の定期報告の義務付け等)を行っています。また、2005年の省エネ法改正により、工場と同様に熱と電気の一体的管理が義務付けられました。

〔5〕高効率機器の普及

従来、エネルギー効率の改善があまり進んでいなかった給湯分野において、技術開発の成果として製品化された高効率給湯器(CO2冷媒ヒートポンプ給湯器、潜熱回収型給湯器、ガスエンジン給湯器)や、高い省エネルギー性が認められる業務用の高効率空調機について、当該機器を購入する需要者に対する補助や中小企業に対する低利融資を行い、普及を促進しています。

〔6〕待機時消費電力の削減

家庭の全消費電力量の約10%に相当する待機時消費電力の削減を推進するため、家庭用電気機器の製造事業者から出された待機時消費電力に関する自主削減プログラムの実現を円滑にするための支援を行いました。

〔7〕ホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)の開発・普及

IT技術の活用により、人に代わって家電機器等の最適運転や照明のオン・オフ、更にはエネルギーの使用状況をリアルタイムで表示する等、家庭におけるエネルギー管理(省エネ行動)を支援するホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)の開発・普及を促進しています(第122-3-4)。

【第122-3-4】ホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)の概要

【第122-3-4】ホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)の概要

〔8〕業務部門におけるエネルギー管理の推進

業務部門における省エネルギーを進めるため、省エネ法に基づく建築物に係る措置(〔3〕参照)のほか、補助制度等によりIT技術を利用したビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS)の普及促進を図っています。

また、設備の省エネルギー診断、省エネルギー設備の導入、資金調達、運転管理等の省エネルギーに関する包括的なサービスを提供するエネルギーサービス事業(ESCO:Energy Service Company事業)について、補助制度や低利融資制度等により普及を促進しています(第122-3-5)。

【第122-3-5】ESCO(Energy Service Company)

【第122-3-5】ESCO(Energy Service Company)

更に、国自らの率先した取組により、ESCO事業の更なる普及を図るため、2004年度から経済産業省と国土交通省が連携して、経済産業省庁舎において国の施設として初めてESCO事業をモデル事業として実施しています。

〔9〕省エネルギー型製品販売事業者評価制度

省エネルギー型製品の普及促進のためには、製造事業者等と消費者との接点である販売事業者が、省エネルギーに関する取組を進めることが極めて重要です。このため、販売事業者による省エネルギーに関する積極的な取組を評価する制度として、2003年度に「省エネルギー型製品販売事業者評価制度」を創設しました。2004年度には大規模家電販売店43店舗、2005年度には中小規模家電販売店も評価対象に加え、大規模家電販売店88店舗、中小規模家電販売店18店舗(計106店舗)を省エネ型製品普及推進優良店に決定しました。

(3)運輸部門

運輸部門のエネルギー消費は、石油ショック以降一貫して増加しています。特に自家用自動車の伸びが著しく、1990年代の運輸部門におけるエネルギー需要増加要因の約9割を占めています。このため、運輸部門における省エネルギー対策については、自家用自動車に重点を置いた対策を講じています。更に、近年の運輸部門におけるエネルギー消費量の増加を抑制すべく、2005年に省エネ法を改正し、新たに一定規模以上の輸送事業者及び荷主に対しエネルギー消費量等の報告を義務付けるほか、省エネ設備投資支援策を併せて拡充するなどの措置を講じています。

〔1〕トップランナー基準による自動車の燃費の改善

1998年に改正された省エネ法において、自動車の燃費基準にトップランナー基準を導入し、燃費の向上を図っています。2006年度からは、対象に重量車(軽油を燃料とする車両総重量3.5トン超の貨物自動車及び乗用自動車(乗車定員11人以上))を追加しました。更に、乗用自動車については目標年度を前倒して、現行の目標年度以降の次期燃費基準について検討しています。

〔2〕ハイブリッド自動車の普及促進

高い省エネルギー性能を有するハイブリッド自動車の車種拡大は国民の選択肢を広げるものであり、このような動きを一層拡大、加速するために、税制上の優遇措置や補助制度、政府系金融機関を通じた低利融資制度による支援を実施しています。

〔3〕交通システムにかかる省エネルギー対策

交通や物流の効率化やモーダルシフトによるエネルギー原単位の優れた輸送手段への代替化を推進するため、現行対策の着実な実施と強化を行っています。また、自治体においては、それぞれの地域の都市計画や地域環境政策等とも関連したTDM(Traffic Demand Management:交通需要マネジメント)や交通システムの改善方策について検討が行われており、自治体の自主性を尊重しつつ、地域の実態にあった対策が進むよう支援しています。

交通システムの改善としては、最先端の情報通信技術を活用し、人と車両と道路を一体のシステムとして構築し、渋滞、交通事故、環境悪化等道路交通問題の解決を図る高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport Systems)を推進するとともに、そのための基盤技術研究開発の促進を図っています(第122-3-6)。

【第122-3-6】ITSを構成する9つの開発分野

【第122-3-6】ITSを構成する9つの開発分野

〔4〕エコドライブの推進

自動車の平均走行速度を見ると、全国平均が40km/h程度であるのに対し、東京、大阪等の大都市圏では、信号待ちや渋滞による発進・停止の影響により20km/h程度であり、燃費が悪い状態で走行されています。

このため、発信時にアクセルの踏み込みを注意することや駐停車時にアイドリングストップを行うことが、燃費の改善に有効な手段として注目されています。

アイドリングストップの普及を図るため、自動的にアイドリングストップを行う機能を有する自動車に対する購入費の補助を行っています。また、ITを利用したエコドライブ支援システムを立ち上げるとともに、講習会及び試乗会、レンタカーを利用した貸出事業等を行い、普及促進に努めています。更に、関係4省庁(警察庁、経済産業省、国土交通省及び環境省)による「エコドライブ普及連絡会」において駐停車時等アイドリングストップをはじめとするエコドライブの普及推進策を検討し、やさしい発進の名称として、『ふんわりアクセル「eスタート」』を発表するとともに、2006年度から3年間で実施するエコドライブ普及・推進アクションプランを策定しました。

事 例

スマートドライブコンテストの様子

エコドライブによる発進時及び停止時における燃料消費量の削減率は、平均して約10%程度あるとされており、特に都市部で大きな省エネルギー効果が期待されます。2005年11月、2004年度に引き続き、全自動アイドリングストップ自動車を用いて、東京23区の都心部及び環状部計60キロをコースとして、スマートドライブコンテストを実施しました。その結果、同コースで通常運転をした場合と比較すると、平均28%の燃料消費量を節約し、また、燃費では平均40%改善されました。

(写真はコンテストの様子)

スマートドライブコンテストの様子

〔5〕省エネ法の運輸部門への適用

運輸部門において、エネルギー消費の伸びが大きくなっており、省エネルギーを図ることが重要となっていることを踏まえ、これまでの自家用乗用車の燃費向上に重点を置いた省エネルギー対策に加え、2005年8月に省エネ法を改正し、輸送事業者及び荷主の取組を求める仕組みを導入することとし、2006年4月に施行しました。具体的には、一定規模以上の貨物輸送事業者、旅客輸送事業者、荷主に対し省エネルギー計画の策定、エネルギーの使用量等の報告を義務付けるとともに、省エネルギーの取組が著しく不十分な場合に主務大臣が勧告、公表、命令を行う制度を設ける等の仕組みを導入しました。

(4)横断的な対策

省エネルギーの推進に当たっては、部門ごとの対策だけではなく、それらの部門を横断する対策も重要です。今後取り組むべき対策としては、省エネルギー技術の開発、国民のライフスタイル見直しを促す広報・教育の充実、公的部門による率先的実行が挙げられます。

〔1〕技術開発

各部門、とりわけ民生・運輸部門におけるエネルギー需要が増加傾向にある状況を踏まえると、省エネルギー技術開発の実効性を上げるためには、まず、需要側すなわちエネルギー消費側から見た課題を抽出し、その課題を克服するための技術シーズに重点を置くことが重要です。このことから、2002年6月に、「省エネルギー技術戦略報告書」の取りまとめを行いました。

今後の省エネルギー分野の技術開発に当たっては、本技術戦略に沿って、シーズ技術の発掘から実証研究に至るまで、民間団体等から幅広く公募を行い、需要側の課題を克服する技術開発を戦略的に行うこととしています(第9節参照)。

事 例

省エネルギー技術の開発

省エネルギー技術に関して、産業・民生・運輸の各部門で大きな波及効果が期待される、さまざまな要素技術の開発を行っています(写真は、通常の電球と比べて消費電力の少ないLED(発光ダイオード)を用いた照明及び信号機。消費電力が電球式の約4分の1以下であるLED信号機は各地で導入が進んでいます)。

写真 照明器具

写真 信号機

〔2〕グリーン購入・調達の推進による省エネルギー機器・設備の導入

公的部門における省エネルギー機器・設備の率先的な導入は、その初期需要創出や市場拡大に寄与するとともに、地域における普及啓発に資するものとして意義があります。このため、国及び独立行政法人等は、2001年4月に施行された「国等による環境物品等の調達に関する法律」(グリーン購入法)を踏まえ、庁舎や公的施設において、省エネ性能の優れたOA機器の導入等、物品等を調達する際には、率先的に省エネルギー機器・設備を導入していきます。

〔3〕省エネルギー教育の推進

ライフスタイル等国民の価値観に関わる問題については、子供の頃からの教育が重要であることから、学校を対象とした啓発活動に重点を置き、省エネルギー教育を推進しています(第9節参照)。

〔4〕複数の主体間の連携によるエネルギーの有効活用の推進

我が国の事業所では、単体での省エネルギーの取組については相当程度進展していますが、工場排熱の他工場や民生部門への融通等、複数の主体間で熱エネルギー等を相互融通することにより更に高い省エネルギーを達成する余地があります。近年、熱交換器等、技術の進展によりエネルギー融通が行いやすくなっていますが、一方でその実現には複雑な調整や実用化のための技術開発等が必要です。そこで、複数事業所が連携した省エネルギーシステムの設計・導入促進のための調査及び説明会、設備導入に係る費用や技術開発に対する支援を行っています。

〔5〕省エネルギー対策の抜本的強化

エネルギーの安定供給確保及び地球環境問題への対応の必要性が高まる中、2005年8月には、総合資源エネルギー調査会省エネルギー部会等での検討を踏まえ、各分野におけるエネルギー使用の合理化を一層進めるため、エネルギー消費量の伸びの著しい運輸分野における対策を導入するとともに、工場・事業場及び住宅・建築物住宅・建築物分野における対策を強化する等の措置を講ずるため、次の(ア)~(エ)に示すように「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(省エネ法)を改正しました。

(ア)工場・事業場に対する規制区分の一本化等

現在、工場・事業場のエネルギー管理については、一定規模以上の熱の使用者及び一定規模以上の電気の使用者をそれぞれ規制対象としているところ、これを一本化し、一定規模以上のエネルギーの使用者を規制対象とすることとします。また、法律の執行強化のため、工場・事業場が登録調査機関の確認調査を受けた場合において、定期報告の提出及び合理化計画の作成に関する規定等を適用除外とする措置を講じ、国は登録調査機関から調査結果の報告を受けることとします。

(イ)運輸分野における省エネルギー対策の導入

一定規模以上の貨物輸送事業者、旅客輸送事業者、荷主に対し省エネルギー計画の策定、エネルギー使用量の報告を義務付けるとともに、省エネルギーの取組が著しく不十分な場合に主務大臣が勧告、公表、命令を行う等、運輸分野における対策を導入します。

(ウ)住宅・建築物分野の省エネルギー対策の強化

一定規模以上の非住宅建築物の新築等をする場合の所管行政庁への届出に、大規模修繕等を行う場合を追加する等の措置を講ずるとともに、一定規模以上の住宅においても非住宅建築物と同等の措置を講じます。

(エ)消費者による省エネルギーの取組を促す規定の整備

消費者による省エネルギーの取組を促すため、消費者に対してエネルギーを供給する事業者及び機器の小売事業者による情報提供についての努力義務規定を整備します。