7.関西電力(株)美浜発電所3号機二次系配管破損事故

2004年8月9日、関西電力(株)美浜発電所3号機が自動停止しました。原因は、タービン建屋2階の天井付近にある復水配管に破口が生じ、蒸気が噴出したことによります。この結果、事故発生時に現場にいた協力会社の作業員が火傷を負い、5名が死亡、6名が負傷されました。なお、本件原子炉は、加圧水型軽水炉といわれるタイプであり、破損箇所(2次系配管)から噴出した蒸気には、放射性物質は含まれていません。また、各排気筒モニタ及び野外モニタの指示値に変動はなく、周辺環境への影響もありませんでした。

国は、直ちに、経済産業省現地対策本部を設置し、現場の検証、情報収集、関係行政機関との連絡調整等を実施するとともに、翌10日には経済産業大臣が美浜発電所等を訪ね、事故状況の実態把握と地元関係者との意見交換などを行いました。また、同日、総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会原子炉安全小委員会に、本件破損事故について調査・検討を進めるための事故調査委員会を設置し、直ちに委員のうち2名を現地に派遣して、専門的な調査を開始しました。

電気事業法に基づき実施した立入検査、報告徴収の結果等を踏まえた事故調査委員会の審議を経て、同年9月に開催された第6回事故調査委員会において、事故の原因究明及び再発防止策の構築に関する「中間とりまとめ」を行いました。これを受けて、経済産業大臣は関西電力社長に厳重注意を行い、美浜発電所3号機に対する技術基準適合命令を発令しました。事故の教訓を踏まえ、国は以下のような対応を実施しています。

・保安検査において、事業者による管理実施方針の策定及びその実施状況を調査し、必要に応じて改善指導を実施。また、その間に得られた情報の事業者間における共有を促進。

・定期事業者検査等の対象となる設備や検査方法を規定している「電気事業法施行規則」を改正し、蒸気タービンに係る検査対象や検査方法の明確化等を実施(2004年12月28日施行)。

・事故の再発を防止するための当面の措置として、電気事業者が配管肉厚管理を実施する場合における検査対象箇所の選定、測定ポイントの設定、検査実施時期の設定、余寿命に応じて講ずべき措置等を規定した通達を発出(2005年2月18日)。

・(社)日本機械学会に対して、過去の配管減肉に係る全てのトラブル事例のデータ等を活用して、配管肉厚管理手法に関する規格の策定作業を行うよう要請(2005年9月目途に策定予定)。

・関西電力美浜発電所の事故をきっかけに、運転年数が長期にわたるプラントの安全性確保に対する社会的関心が高まっていることを踏まえ、原子力安全・保安院への「高経年化対策室」の設置、総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会への「高経年化対策検討委員会」の設置等(ともに2004年12月)、高経年化対策への取り組みの一層の充実。

さらに、9月の中間とりまとめ以降に明らかになった事実関係なども踏まえ、2005年3月30日の第10回事故調査委員会において、最終報告がとりまとめられました。

同報告書は、事故のあった配管が点検リストから漏れ、当該配管が浸食・腐食で減肉していた事実を長年見落としてきたことが直接的な原因であるが、事業者の不十分な保守管理・品質保証の体制が事故の根本原因であり、その背景には事業者の「安全文化」の綻びがあったとも指摘しています。国は、事業者に対し再発防止対策の確実な実行を強く要請し、特別の保安検査等によって厳しく監視していきます。

他方、国は、配管の肉厚管理を事業者に委ねていたことを反省し、これまでに行った省令改正や指針の発出に加え、事業者の品質保証活動に対する検査方法の改善など、規制の不断の見直しを進めていきます。さらに、上記の取組について地元や国民の皆様によく説明し、ご理解を得ることにより、原子力の安全に対する信頼の回復に努めていきます。

2次系配管破損事故における破口部写真

2次系配管破損事故における破口部写真

事故が発生した箇所

事故が発生した箇所