第9節 エネルギー教育、広聴と広報

1.エネルギー教育に関する取組

将来、エネルギーを利用し、そのエネルギー源を選択し、エネルギー技術開発を担うのは、まさに現在の児童生徒です。エネルギー資源の乏しい我が国にとって、児童生徒一人一人がエネルギーを取り巻く諸情勢に関する正確な知識と科学的知見を深め、エネルギー問題に関する総合的な見方・考え方を育成し、自ら考え、判断する力を身に付けられるようにすることは、非常に重要な課題です。また、学校卒業後においてもエネルギーに関する興味関心が持続できるよう、生涯学習活動のなかにエネルギーに関連した活動を位置づけていくことも重要です。

学校教育においては、従来から児童生徒の発達段階に応じ、社会科や理科などにおいてエネルギーについての学習が行われていました。2002年度から小・中学校で、2003年度から高等学校で、順次実施された学習指導要領においては、中学校や高等学校の社会科や理科において、エネルギーに関わる内容の一層の充実が図られるとともに、新設された「総合的な学習の時間」において、体験的・問題解決的な学習を通して、児童生徒が、エネルギーや環境などの教科横断的・総合的課題等について、地域や学校、児童生徒の実態等に応じて、取り組むことができるようになっています。

この学校教育の場やその他課外活動などの様々な機会において、自発的かつ積極的にエネルギー教育を行うことができる環境を整備するために、教職員等への支援、児童生徒への支援、学校に対する総合的な支援を行っています(第139-1-1)。

【第139-1-1】エネルギー教育の取組

【第139-1-1】エネルギー教育の取組

エネルギー教育に関する取組に当たっては、関係行政機関、教育機関及び産業界が連携し、エネルギー関連教材やエネルギー施設の見学等の体験学習の充実等様々な工夫を凝らすように努めています。

COLUMN

エネルギー教育の取組

○エネルギー教育実践校

エネルギー教育に積極的に取り組んでいる学校を、全国の小中高等学校から「エネルギー教育実践校」として公募・選定し、支援しています。2004年度は全国の学校から180校(小学校66校、中学校53校、高等学校61校)を選定しました。実践校としての指定期間は、3年間です。

各実践校でのエネルギー教育の実践を支援するため、教材・資料の提供、専門家・講師の派遣、その他実践に関するコンサルティング、資金助成等を実施しています。

2002年度選定 愛媛県新浜市立神郷(こうざと)小学校 担当教諭からの報告

「3年間のエネルギー教育の実践について」

2002年度にエネルギー教育実践校に選定されて以来、3年間で様々な取組を行ってきました。3・4年生では身近なところでエネルギーがどのように作られているかを調べ、5・6年生になるとインターネットを活用して、地球環境問題との関連を調べることなども行いました。最初は難しいと思っていた子どもも、実験や社会科の見学などの体験を通じて「面白いなぁ」と感じるようになっていきました。また、児童が学習したことを学校便りで保護者に情報発信を行ったり、参観日にエネルギーの授業を公開することなども行いました。ちょうど「総合学習の時間」も導入され、エネルギー問題に目を向ける下地ができたといってもよいと思います。加えて、各教科と関連付けて学習を進めていくことも、児童の理解のためには重要です。本校は2004年度でエネルギー教育実践校としての3年間は終了したが、児童らの「もっと学びたい」という意欲に応えられるような授業作りをこれからも継続して行うことが、次世代層にエネルギー問題を考えてもらうことにつながっていくと考えています。

○省エネルギー教育推進モデル校への支援

小・中学校における省エネ学習を推進し、省エネルギー型社会の形成を促進するため、全国から省エネ教育推進モデル校を募集し、省エネ教材の提供や省エネ教育のための人材派遣等の支援を実施しています。2004年度は423校(小学校316校、中学校107校)を選定し、省エネルギー教育を実践しています。

○省エネコンクール

省エネについて考える機会を持って頂く為に、ポスター・小論文・実践の3部門からなる省エネコンクールを実施しています。2004年度は、ポスター9,739点、小論文160点、実践192点の応募がありました。また、2月の省エネ月間に表彰式を行いました。

○原子力・エネルギーに関する教育支援事業交付金

この交付金は、国民の一人一人がエネルギーや原子力について、理解を深め、自ら考え、判断する力を身につけるための環境の整備を図る観点から、全国の各都道府県が学習指導要領の趣旨に沿って主体的に実施するエネルギーや原子力に関する教育に係る取組を国として支援するための交付金です。具体的には、エネルギーや原子力の教育に関する副教材の作成・購入、教員の研修、見学会、講師派遣等に活用されています(第139-1-2)。

【第139-1-2】原子力・エネルギー教育に関する支援事業交付金により整備された酸性雨発生説明器

【第139-1-2】原子力・エネルギー教育に関する支援事業交付金により整備された酸性雨発生説明器

2.エネルギー広聴・広報の取組

(1)エネルギー広聴・広報の役割

エネルギーは、国民生活や経済活動の基盤をなすものであることから、国民一人一人が自らの問題として理解を深め、行動することが、エネルギーを巡る様々な課題を解決する上で重要です。

また、国民、国、地方公共団体、事業者、エネルギー生産地・消費地など様々な主体間で、様々な視点や立場からエネルギーに関する多様なコミュニケーション、議論が行われることも重要です。

国は国民に対する説明責任を全うするとともに、国民がエネルギーに対する理解と関心を深めることができるようエネルギーに関する情報の積極的な公開や、国民の意見を幅広く伺うなど、分かりやすく目に見えるエネルギー広聴・広報活動に努めています。

(2)情報・知識の内容

国民一人一人に届ける情報・知識の内容として、世界のエネルギー動向や、国内でエネルギーが輸入され電気やガソリンなどに形態を変えながら利用に届く過程など、エネルギー対策の必要性やその内容を国民自らが考えることをサポートできる情報を提供しています。

その際、情報内容が偏らないよう様々な立場からの見方を含めるなど客観的な情報とすること、正確かつ膨大な情報を分かりやすく伝えることに努めています。

(3)広聴・広報活動の具体的取組

世論調査、パブリックコメントやホームページへの意見投稿受付などの活用により、エネルギー政策に対する国民のニーズ・考え方を把握することに努めています。また、広報を実施する際には、主たる対象となる層の特徴(年齢、意識、地域特性など)を把握するための調査やグループインタビューを行うなど、国民の興味・関心に沿ったきめ細かい広報事業を展開しています。

具体的には、国民のエネルギーに関する意識を喚起するためのイベントの実施、テレビCM、エネルギー問題に対する認知向上・関心継続のための新聞広告や情報誌の作成、より理解を深めるためのパンフレットやホームページの作成、シンポジウムや見学会の実施、国民一人一人がエネルギー問題について自ら判断し行動を起こすための意見表明、実践活動の場の提供などを行っています。

さらに、広聴と広報を区別するのではなく、国民一人一人と国が双方向のコミュニケーションを図れるよう努力しています。

このほか、非営利組織の自立的活動が促進されるよう情報提供や講師派遣などを行っています。

COLUMN

広聴・広報の取組事例

○シンポジウム「エネルギーと環境のことを考えよう」

我が国は、エネルギー自給率が4%と低く、石油をはじめとする資源の大部分を海外に依存しています。私たち一人一人がエネルギーを通じ、私たちの生活や産業、風土・環境や国際社会とのつながりなどについて課題とビジョンを共有し、将来の我が国の姿を考える機会を提供するため、2004年度に全国7カ所でシンポジウムを開催しました(第139-2-1)。

【139-2-1】シンポジウム「エネルギーと環境のことを考えよう」(地域からの報告)

【139-2-1】シンポジウム「エネルギーと環境のことを考えよう」(地域からの報告)

○高校生エネルギークイズ選手権大会

高校生を対象に、広くエネルギー問題や地球環境問題等に関する知識や情報を『クイズ大会』という形式で提供します。高校生たちは、『クイズ大会』への参加を通じ、楽しみ、体験しながら、エネルギーや原子力への関心向上と知識習得ができます。また、原子力地域のみならず原子力立地道県の都市部及びエネルギーの最大消費地である首都圏の高校生等に参加を広く求めることで、高校生相互の交流の場となり、電気の生産地域と消費地域の交流を促進します。

2004年度は、地方大会を6月中旬から全国15ヶ所で開催し、8月8日にチャンピオン大会を日本科学未来館(東京都江東区青海)で開催しました(第139-2-2)。

【第139-2-2】「高校生エネルギークイズ選手権大会」

【第139-2-2】「高校生エネルギークイズ選手権大会」

○ENEX 2005「第29回地球環境とエネルギーの調和展」

省エネルギー・新エネルギーを通じ、未来のビジネスモデル・ライフスタイルの創造を目的として、毎年、省エネ月間である2月にENEX展(地球環境とエネルギーの調和展)を開催しています。

2004年度は、『ここから、省エネルギー・新エネルギー、そして地球の未来を』をテーマに、『スマートライフ』『ビル・産業』『運輸の省エネ』『省エネ実践活動』『アワード』の5つのゾーン展開をし、エネルギーと環境に関する最新の情報・機器・システムを一堂に集め、さまざまな省エネ・新エネの新技術・新製品等を紹介しました。東京・大阪2会場で8万人以上が来場しました(第139-2-3)。

【第139-2-3】ENEX2005「第29回地球環境とエネルギーの調和展」

【第139-2-3】ENEX2005「第29回地球環境とエネルギーの調和展」

○実践活動「省エネ共和国」

地域で自らエネルギーを考え、計画し、実践する人々の活動を支援することにより、新しい省エネ型のライフスタイル「スマートライフ」を地域社会の市民間に定着させる取組です。

省エネ共和国とは、地球温暖化防止のためにエネルギーを考え、省エネルギー・環境・リサイクル等を推進する地域活動をそれぞれの計画に基づいて、実践していく人々の集合体で建国宣言をしてスタートします。共和国には、建国支援ツールの提供、省エネ情報紙の配布、活動支援ツールの提供・無償貸与、情報交換・交流の場の提供等の支援があります。2005年2月現在、省エネ共和国建国数は、89カ国です(第139-2-4)。

【第139-2-4】実践活動「省エネ共和国」

【第139-2-4】実践活動「省エネ共和国」

○ホームページ

・資源エネルギー庁ホームページ(http://www.enecho.meti.go.jp/

我が国の資源エネルギー事情・政策、プレスリリース資料等を掲載。

・原子力情報なび(http://www.atomnavi.jp

原子力なんでも相談室、イベント情報案内、施設見学会等を掲載。

・(財)省エネルギーセンターホームページ(http://www.eccj.or.jp/

省エネルギーについての各種対策・施策、イベント、キャンペーン等に関する情報を掲載。

・(財)新エネルギー財団ホームページ(http://www.nef.or.jp/

新エネルギーについて、各種助成制度、表彰制度、調査結果、展示会等に関する情報を掲載。