第7節 電気事業制度、ガス事業制度

1.電気事業制度

(1)電気事業制度改革

電気事業においては、規模の経済を前提に、電気供給を営む電気事業者に対して発送電一貫の独占的供給を認め、一方で料金規制等によってその弊害を排除するという形の事業規制を課すことが、国民経済的に見て最適であると考えられてきました。

このような従来の電気事業の公益事業規制の在り方に対して、1995年、2000年に2度の制度改革が行われ、さらに第3次の改革として2003年に電気事業法の改正(全面施行は2005年4月から)が行われました。

〔1〕1995年の電気事業制度の改革

1993年の総合エネルギー調査会基本政策小委員会報告では、各発電部門への市場原理導入が提言され、これを受け1995年4月に電気事業法が一部改正、同年12月に施行されました。

この規制緩和によって、電気事業者以外の事業者が、電力会社に電気を売ること(卸売)が認められるようになりました。電力会社にとっては、電力会社・卸電気事業者以外からも電気を買うことが可能となり、電源調達の選択肢の拡大につながりました。なお、この電力卸売事業に新規参入する事業者は独立発電事業者(IPP)と呼ばれます。

また、電力会社と同様に供給地域と供給責任を持つという条件の下で、電力会社以外の事業者が小売まで行うことができるよう、規制改革が行われました。これによって、自前の発電設備と送配電設備を持つ事業者が、特定地域の電力需要家に直接、電気を売ることができるようになりました。この新しい事業を特定電気事業といい、その事業者を特定電気事業者といいます。

さらに、料金規制の見直しとして、〔1〕ヤードスティック査定の導入、〔2〕選択約款の届出制、〔3〕燃料費調整制度の導入、〔4〕経営効率化制度の見直し等が行われました(第137-1-1)。

【第137-1-1】1995年の電気事業制度改革

【第137-1-1】1995年の電気事業制度改革

1995年の電気事業制度改革の概要

○卸売事業の自由化

〔1〕卸売事業への参入自由化、〔2〕電源入札制度の導入、〔3〕卸託送制度の整備

○小売供給事業への参入整備

特定電気事業の創設

○料金規制見直し

〔1〕ヤードスティック査定導入、〔2〕届出制の選択約款導入、〔3〕燃料費調整制度導入、
〔4〕経営効率化計画の策定

〔2〕2000年の電気事業制度改革

その後、1996年12月に、「経済構造の改革と創造のためのプログラム」が発表され、その中で、電気事業の高コスト是正が主要課題の一つとされ、「2001年までに国際的に遜色のないコスト水準とすること」を目指し、電力の小売部門における競争をさらに促進するための規制緩和・制度改革を行うこととされました。そして、1997年7月に、通商産業大臣の諮問機関として、設置された電気事業審議会基本政策部会の中間報告(1997年12月)、最終答申(1999年1月)を受け、1999年5月に電気事業法が一部改正され、2000年3月から施行されています。

具体的な制度改正の内容は、小売部門に競争を導入するため、2000年3月から大規模工場やオフィスビル、デパート、大病院等の特別高圧で受電する需要家(2万V以上で受電、電気の契約電力が原則2,000kW以上の需要家)に対しては、電力会社以外の新規参入者も電気を供給することができるようになりました(新しく電気の小売事業に参入した事業者は、特定規模電気事業者(PPS)と呼ばれています。)。その際、自由化対象となった需要家は、我が国の電力販売量の3割弱を占めていました。

この自由化部門の需要家は、電気料金等を供給相手(電力会社、特定規模電気事業者)との交渉で自由に決定することができます。ただし、最低限の需要家保護の観点からどの事業者からも供給が受けられない需要家については、電力会社が国に届け出た「最終保障約款」に基づき、区域の電力会社が供給することとなっています。また、この規制改革によって、従来の電力会社も自らの供給区域を越えて電気を売ることができるようになりました。

なお、需要家へ電気を供給するための送電設備は、設備の重複を避けるという観点から、引き続き電力会社が一元的に運用することとなりました。そこで、電力会社は小売の一部自由化と同時に、新規参入者が既存の送電線を使い、電気を送る際のルールについて、送電ネットワークを利用する際の申し込み手順、契約条件、送電サービス料金等を「接続供給約款」として定め、経済産業大臣に届け出ることとなりました。

特定規模電気事業者は、送電ネットワークの系統安定等の観点から、託送する電力の需給を30分単位でバランスさせるという原則(30分単位での同時同量の確保)に従う等、一定のルールに従うことが必要になります。

非自由化対象需要家(一般家庭や中小工場等特別高圧以外の需要家)に対する電気の供給は、従来どおり電気事業法の規制下とし、区域の電力会社が「電気供給約款」や「選択約款」を作成し、責任をもって電気の供給を行います。なお、「電気供給約款」は経済産業省による認可を得たものですが、料金引き下げを行う場合の約款変更については、届出制となりました。また、「選択約款」は、1995年の電気事業法改正で導入された電力の負荷平準化等「設備の効率的使用」を進めるための料金メニューの設定のためのものでしたが、その適用範囲を営業費の削減等「経営の効率化に資するもの全般」に拡大しました。

さらに電力会社の経営自主性の尊重、経営資源の有効活用等の観点から、兼業規制を撤廃しました(第137-1-2)。

【第137-1-2】2000年の電気事業制度改革

【第137-1-2】2000年の電気事業制度改革

2000年の電気事業制度改革の概要

○小売の部分自由化の導入

〔1〕特別高圧の需要家(2万V以上で受電、電気の契約電力が原則2,000kW以上)に対して、一般電気事業者(電力会社)以外の者でも、電気の供給を可能とする。

 ⇒特定規模電気事業者の創設

〔2〕電力会社が維持及び運用する送電ネットワークを、新規参入者(特定規模電気事業者)が利用するための公正かつ公平なルールを整備する。

 ⇒託送ルールの整備

○料金規制の見直し

〔1〕料金引下げ時においては届出制とする。

〔2〕選択約款メニューの拡充を図る。

〔3〕卸供給の料金規制を認可制から届出制とする。

○その他

電力会社の経営自主性の尊重、経営資源の有効活用等の観点から、兼業規制を撤廃する。

〔3〕2003年の電気事業制度改革

その後、総合規制改革会議第2次答申(2002年12月12日決定)において、「電気事業制度全体の見直し」について、2002年度中に措置すべきと、早期の対応が求められました。

2000年の改革後、2001年11月より総合資源エネルギー調査会電気事業分科会において幅広い議論がなされ、現行制度の評価、海外の電気事業制度改革の調査、我が国の電力需給構造の分析などを行ったうえで、望ましい我が国の電気事業制度の在り方を検討し、2003年2月に「今後の望ましい電気事業制度の骨格について」と題する基本答申がまとめられました。

この中で、2002年に成立したエネルギー政策基本法に定められた基本方針に則り、エネルギーの安定供給の確保と環境への適合を図り、これらの政策目的を十分考慮しつつ、経済構造改革を推進することが重要であると結論づけられました。

具体的には、〔1〕電気の広域的な流通の円滑化のための環境整備、〔2〕公平性・透明性確保によるネットワーク部門の調整機能の確保、〔3〕発送電一貫体制の維持や卸電力市場の整備など原子力を含む安定的な電源開発の推進のための環境整備等を図りつつ、これらの結果、安定供給や環境への適合が図られる範囲内で小売自由化範囲の拡大を進めていくことが適当であると示されました。

我が国の電気事業制度については、これまでの制度改正による小売の部分自由化等を通じ一定の効率化の成果が現れてきたところではありますが、2000年の制度改正時の3年後の見直し条項及びエネルギー政策基本法を踏まえ、供給システム改革による安定供給の確保、環境への適合及びこれらの下での需要家選択肢の拡大を図るため、「電気事業法及びガス事業法の一部を改正する等の法律」が2003年6月に成立しました。その後、2003年9月から電気事業分科会等において、改正法に新たに盛り込まれた中立機関、自営線供給、行為規制や私設任意の卸電力取引市場などの新たな取組みを着実に実施するために必要な詳細制度の検討を行い、2003年12月及び2004年5月に詳細な制度設計の取りまとめを行いました(第137-1-3、137-1-4)。

【第137-1-3】2003年電気事業制度の改革

【第137-1-3】2003年電気事業制度の改革

【第137-1-4】電力自由化に向けたスケジュール

【第137-1-4】電力自由化に向けたスケジュール

2003年の電気事業制度の改革の概要

○電力の供給システムの改革による安定供給の確保

〔1〕ネットワーク部門の調整機能(注)確保

・発電から小売等の川上から川下まで一貫した体制で、確実に電気の供給を行う「責任ある供給主体」として、一般電気事業者制度を存続し、いわゆる発送電分離のような構造規制(アンバンドリング)を採用しない。

・ネットワーク部門の公平性・透明性についての市場参加者の信頼を確保し、ネットワーク部門が供給信頼度の維持に不可欠な調整機能を確保し得るよう、電力会社のネットワーク部門について、アクセス情報等の目的外利用の禁止、差別的取扱いの禁止、他部門との内部相互補助を防止するための会計分離及びその結果の公表の義務づけ等の措置を講ずる。

・電力会社、新規参入者や学識経験者等が公平・透明な手続の下で送配電部門に係るルールの策定及び運用状況の監視等を行う仕組み(送配電等業務支援機関)を構築する(行政は公平性・透明性の遵守に係る事後チェックのみ実施)。

(注)電力供給におけるネットワーク部門の調整機能の具体例

 ・新規の発電所を既存の送電線へ接続する可否等の決定

 ・送電量が送電可能容量一杯になったとき(混雑発生時)の発電所への給電指令(出力変更の指令)の実施 等

〔2〕広域流通の円滑化

全国の発電所の供給力を有効活用できるよう、供給区域をまたいで送電するごとに課金される仕組み(振替供給料金)を廃止する等、現行の託送制度を見直し、広域的な電力取引を円滑化する。

なお、振替供給料金の廃止については、コスト回収、地域間精算、遠隔地立地への対処を図るとともに、廃止後の状況の推移をみて、大きな問題が生ずれば、直ちに廃止を見直すものとする。

〔3〕電源開発投資環境の整備

発送電一貫体制の維持及び全国的な電力流通の円滑化も、原子力を始めとする電源開発の投資環境整備に資するものであるが、これらに加えて、市場価格を投資リスクの判断に利用したり、余剰電力の販売先を確保する等投資リスク管理を容易にするため、全国規模の私設・任意の卸電力取引市場を創設する。

〔4〕供給力の多様化に資する分散型電源による電力供給の容易化

多様な電力供給手法を整備することにより、一層の安定供給を図るため、二重投資による著しい社会的弊害が生ずる場合を除き、コージェネ等の分散型電源から特定規模需要(自由化対象の需要)に対し、自らが維持・運用する電線路により電気を供給することを可能とする。

○環境への適合

原子力、水力といった環境調和型電源の円滑な導入を図るため、

(1)全国的な電力流通の円滑化(上記〔2〕)等を行うほか、

(2)優先給電指令制度や送電容量の確保のための仕組みを構築する(上記〔1〕)。

○需要家選択肢の拡大

〔1〕電気事業における自由化範囲の段階的な拡大の一層の促進

広域流通の活性化や分散型電源による電力供給の容易化を通じ、需要家にとっての供給者に関する選択肢の拡大を図りつつ、小売自由化範囲について、下記のように拡大する予定。

電気:現行 契約電力2000kW以上   →2004年度 契約電力500kW以上

                  →2005年度 すべての高圧需要家

また、小売自由化範囲の拡大後も、現行制度同様、地域の電力会社が自由化部門の需要家に対して、最終保障を提供する。

なお、小売自由化範囲については、2007年を目途に全面自由化について検討を開始することとするが、その際には、需要家の選択肢の確保状況等を踏まえ、〔1〕供給信頼度の確保、〔2〕エネルギーセキュリティや環境保全等の課題等との両立、〔3〕最終保障、ユニバーサル・サービスの確保、〔4〕長期投資、長期契約のリスク、〔5〕実務的課題等について十分慎重に検討する。

〔4〕電気事業制度改革の成果

(ア)新規参入の増加

2000年に特別高圧需要家への小売自由化が始まったことを受けて、電力小売に新規参入する企業が現れました。これらPPSの新規参入後、民間の電力ユーザーの中で従来の電力会社からPPSに切り替えするケースや、公共施設における電力供給入札でPPSが落札するケースが出てくるようになりました。

PPSは新規参入以降、電力販売量が増加しており、2003年度には計3,981MWhの販売を行っています(第137-1-5)。また、新規参入事業者は、2005年3月現在全国で21社となっています。新規参入したPPSにはガス会社や石油会社等のエネルギーサービス事業者が含まれ、多様なサービスの提供を図る等、事業者間の競争が現れています。

【第137-1-5】PPSによる販売電力量の推移

【第137-1-5】PPSによる販売電力量の推移

【第137-1-5】PPSによる販売電力量の推移(xls形式:41KB)

なお、競争入札による政府の電力調達が、新規参入者の事業シェアの拡大につながり、有効な競争の促進に一定の貢献をしてきたことは事実ですが、京都議定書の発効を受け、政府として二酸化炭素の排出削減に率先して取組む必要があることから、現行の購入方式を改め、電力市場における有効な競争の確保と二酸化炭素削減に資する電源の推進を考慮した方法を導入する予定です。

(イ)料金の低下

規制改革によって、PPSと従来の電力会社の間で競争が発生したことで、自由化対象である大口の電力需要家が、供給を受ける電力会社を自由に選ぶことができるようになりました。PPSは当然、電力会社の料金水準よりも安い料金を需要家に提示しようとしますから、競合する電力会社の側にも料金を引き下げる動機が働きます。

電力小売自由化の始まった2000年から2004年にかけて、自由化対象の電力需要家における平均の単価でみると、全体で11.6%の低下(業務用で25.9%の低下、産業用でも同様に9.6%の低下)となっています(第137-1-6)。

【第137-1-6】自由化対象の電力需要家における平均単価の推移

【第137-1-6】自由化対象の電力需要家における平均単価の推移

【第137-1-6】自由化対象の電力需要家における平均単価の推移(xls形式:30KB)

また、規制部門の電気料金についても2000年の制度改正後、数度の料金改定が行われ、更に2004年から2005年にかけて電力各社において3度目の料金改定が実施され、価格が引き下げられています。

2.ガス事業制度

(1)ガス事業制度改革

ガス事業についても、電気事業と同様に公益事業規制の在り方に対して、1994年(実施1995年から)、1999年及び2003年に制度改革(実施2004年から)が行われています。

〔1〕1995年のガス事業制度の改革

1995年の制度改革においては、天然ガス導入の進展に伴い、〔1〕工業等の需要において天然ガスのシェアが高まっていること、〔2〕これら需要家は、概して他燃料への転換が容易であるため、一般ガス事業者との間で価格交渉力を有するようになってきたこと、〔3〕一般ガス事業者の供給区域外の工業用等の需要においても天然ガスのニーズが高まってきたこと等を背景に、大口需要家を対象としたガスの小売自由化等の制度改革を実施しました。

従来、一般ガス事業者が供給区域内においてガスを独占供給していましたが、上記状況を背景に、ガスの大口需要家(年間契約ガス使用量200万m3以上/46MJ換算)を対象としたガスの小売自由化を行い、ガスの小売分野に競争を導入しました。これにより、大口需要家については、ガスの供給者を選ぶことが可能となり、料金やサービスも当事者間の自由な交渉によるものとなりました。

1995年のガス事業制度改革の概要

○大口供給制度の創設

大口需要家(熱量46MJ換算で年間契約ガス使用量200万m3以上)へのガス供給について

〔1〕料金:原則として大口需要家とガス供給者との間の交渉により料金を設定

〔2〕参入:一般ガス事業者による供給区域外への大口供給及び一般ガス事業者以外の者(大口ガス事業者)による大口供給を原則認める

○大口供給に係る託送ルールの整備

大口供給に係る託送を受託する一般ガス事業者による引受条件等の基本的事項を定めた託送取扱要領の整備

○ヤードスティック的査定方式の導入

一般ガス事業者の料金改定時に、一般ガス事業者間での経営効率化の度合を比較査定するヤードスティック的査定方式を導入。

○原料費調整制度の導入

〔2〕1999年のガス事業制度の改革

経済構造改革の一環として、国際的に遜色のない産業基盤サービスの実現を目指すべく、1998年10月より総合エネルギー調査会都市熱エネルギー部会において検討が開始され、1999年2月に同部会中間報告書がまとめられました。同報告を踏まえ、1999年5月にガス事業法が一部改正され、1999年10月に都市熱エネルギー部会において取りまとめられた詳細な制度設計に係る報告書を受け、同年11月19日より新制度が施行されました。

この制度改革では、競争が行われる範囲を拡大するために、自由化の対象となるガス需要家を、年間契約ガス使用量200万m3以上の需要家から100万m3以上へと拡大するとともに、大口供給の際に、一般ガス事業者のガス導管を他のガス供給事業者が利用する託送ルールを法定化しました。また、公正・有効な競争を確保し、不適切な取引を予防するといった観点から、2000年3月、「適正なガス取引についての指針」が制定されました。

1999年のガス事業制度の改革

○大口小売自由化の一層の促進

大口小売の自由化を一層促進するため、大口供給の範囲を年間契約ガス使用量200万m3以上から100万m3以上に拡大。

※ガス会社が保有する導管を、ガス会社以外の供給者が利用するための公正かつ公平な大口供給に係る託送ルールを法定化(大手4社に接続供給約款の作成等を義務付け)

○簡易ガス事業者の参入基準の明確化

簡易ガス事業者が一般ガス事業者の供給区域内に参入する場合における判断基準を明確化し、地方ガス事業調整協議会を廃止

○料金規制の見直し

〔1〕料金引下げ等需要家料金を阻害する恐れがない場合は、認可制から届出制に移行

〔2〕選択約款メニューの届出制導入

○その他

〔1〕卸供給条件に係る規制を認可制から届出制に移行

〔2〕都市ガス会社の経営自主性の尊重、経営資源の有効活用等の観点から、兼業規制を撤廃

〔3〕ガス工作物の変更にかかる許可制を届出制に移行

〔3〕2003年のガス事業制度の改革

2001年1月から、エネルギー産業における天然ガスへの期待の増大を踏まえ、ガス事業の競争環境の整備、ガス価格の一層の低下などの観点から、今後のガス市場整備に関する基本的な問題について研究を行うため、資源エネルギー庁に学識経験者、関係業界、消費者代表等から構成する「ガス市場整備基本問題研究会」を開催し、その検討結果として、2002年4月に「今後のガス市場整備の基本的な政策のあり方について~グランドデザイン~」を取りまとめました。この結果を踏まえ、更に総合資源エネルギー調査会都市熱エネルギー部会において、2002年9月から今後のガス事業制度改革について検討を行い、2003年2月に取りまとめられた報告書を踏まえ、2003年6月に「電気事業法及びガス事業法の一部を改正する等の法律」が成立し、これに基づいて2004年4月より新制度が施行されました。

具体的には、川上から川下まで一貫した体制でガスを供給する体制を維持した上で、〔1〕効率的なガス供給基盤の整備とその有効利用の促進の観点から、ガス導管事業をガス事業法上に位置づけるとともに、〔2〕導管の託送ルールの充実・強化、〔3〕ガス利用者の選択肢の一層の拡大の観点から、ガス小売自由化範囲を年間契約ガス使用量50万m3以上の需要家まで拡大しました。

さらに、託送供給の中立性・透明性の確保や、LNG基地の有効利用促進の観点から、2004年8月、「適正なガス取引についての指針」が一部改定されました(第137-2-1)。

【第137-2-1】2003年のガス事業制度の改革

【第137-2-1】2003年のガス事業制度の改革

2003年のガス事業制度の改革

○大口小売自由化の一層の促進

大口小売の自由化を一層促進するため、大口供給の範囲を年間契約ガス使用量100万m3以上から、50万m3以上に拡大。

また、大口供給の許可制を変更命令付きの届出制に移行。

○ガス導管事業の創設

ガス導管事業をガス事業法上に位置付け、託送義務を課す一方で、導管網の効率的な整備促進のための公益特権(土地の利用・立入等)等を整備。

○託送供給制度の充実・強化

〔1〕託送義務を全ての一般ガス事業者及びガス導管事業者に拡大。

〔2〕託送業務で知り得た情報の目的外利用の禁止、差別的取扱いの禁止、他部門との内部相互補助を禁止するための会計分離及びその結果の公表義務付け等の措置。

○LNG基地の有効利用促進

基地利用者による利用要領等の作成等

○その他

卸供給条件の届出を廃止し、卸供給ガスの託送義務化

〔4〕ガス事業制度改革の成果

このようなガス小売の部分自由化の結果、自由化領域における新規参入等によって競争が活発化し、電気、石油等の他のエネルギー市場との競争に加え、ガス対ガスの競争が進展しています。

これにより、2002年度において、大口供給が総ガス供給量に占める割合は、約5割となっていますが、このうち、一般ガス事業者以外による新規参入は、15社59件(2005年3月1日現在。国産天然ガス事業者、電力会社、商社等)となっており、全大口供給量に占める割合は約5%(2003年度実績)となっています。

料金面については、事業者の経営効率化が進んだことにより、1995年から2003年にかけて、大手ガス会社を中心に、平均単価で約8~13%程度低下しています。また、規制料金(小口料金)部門においても、1995年の制度改正後、4度の料金改定が実施され、価格が引き下げられています。これにより、全需要家の約8割がそのメリットを享受する等、一定の成果を挙げています。

また、ガスの卸供給市場にも変化が生じています。卸供給市場は従来主に国産天然ガス事業者やLNG基地を保有している大手ガス事業者が導管によって、ガス事業者に卸供給を行ってきましたが、近年の動きとして、電力会社等からの導管による卸供給、LNGの状態でのローリー車による輸送の他、鉄道や内航船等、卸供給の多様化が進みつつあります。

(2)都市ガスの高カロリー化

高カロリー化とは、都市ガス事業者が、供給ガスを低カロリーガス(ナフサやブタン等の改質ガス)から天然ガス等の高カロリーガスに転換することをいいます。ガス機器は、特定のガス種に適合しているため、ガスを高カロリー化する場合には、ガス機器を調整する必要があり、多大なコストがかかります。高カロリー化は基本的には、都市ガス事業者が自主的に実施しており、その意義や多大なコスト負担等を踏まえて、政府による財政的支援等(税制、財投、補助金)が行われています。

現在、一般ガス事業者220事業者中、168事業者が高カロリー化を実施しており(2005年3月末現在。実施中を除く。)、未実施の事業者も2010年までの高カロリー化に取り組んでいます(第137-2-2)。

【第137-2-2】高カロリー化の状況

【第137-2-2】高カロリー化の状況

【第137-2-2】高カロリー化の状況(xls形式:18KB)

高カロリー化の意義

〔1〕天然ガスの普及拡大

 化石燃料の中で最も二酸化炭素排出量の少ない天然ガスを全国に普及。

〔2〕需要家の利便性拡大

 高カロリーガス用機器は低カロリーガス用に比べて種類が多く、需要家のガス機器選択幅が拡大する。

〔3〕事業者のエネルギー供給基盤の強化

 長期的なコストダウン等による供給基盤の強化(導管輸送能力の向上等)