クルマの環境価値はどうやって高める?xEVの次の5年

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2018年8月末に開催された「自動車新時代戦略会議」では、日本の自動車産業としての、2050年に向けた長期ゴールが示されました。そのゴールを達成するためには、さまざまな取り組みが必要となります。ゴール達成に向けて、直近の5年間ではどのような取り組みがおこなわれていくのでしょうか。今回は、その具体的な内容を見てみましょう。

2050年のゴール達成に向けてこの5年間にやるべきこと

自動車新時代戦略会議で示された2050年に向けた長期ゴールとは、簡単に言えば、以下の3点です。

リストアイコン 世界で供給する日本車について、世界最高水準の環境性能を実現する
リストアイコン 自動車1台あたりのGHG(温室効果ガス)を、8割程度削減する(乗用車1台あたりで9割程度削減、実現すれば「xEV率100%」になることが想定)
リストアイコン 世界のエネルギー供給のゼロ・エミッション化、車の使い方のイノベーションとも連動し、「Well-to-Wheel Zero Emission」へのチャレンジに貢献する

この長期ゴールを達成するためには、さまざまな技術の開発はもちろん、社会システムやインフラの整備が必要となります。さらに、xEV(電動車)が世界中で利用されるような社会を作っていくことも必要でしょう。そのような、自動車の電動化に向けて必要となる取り組みは、主に以下のようなものがあります。

これらの課題に対し、同会議の「中間整理」では、直近5年間で取り組むべき重点項目が掲げられました。重点項目のポイントは大きく分けて3つあります。「オープン・イノベーション促進」、「グローバル課題解決のための国際協調」、そして「社会システム確立」です。詳しく見ていきましょう。

①オープン・イノベーションに取り組む

電動化が進む中でのカギを握るのは、「全固体電池」や「革新型電池」などの次世代の電池、あるいは進化したモーターやインバータ、車体の軽量化などの次世代電動化技術です。そこで、自主開発にこだわらず産官学や企業同士が協調してイノベーションにチャレンジする「オープン・イノベーション」を促進することで、実現を加速していきます。一部技術については、すでに国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の下、各社が協力して開発を進めています。

電動化の一方で、GHGの削減に引き続き大きな役割を果たす「内燃機関」についても、脱炭素化に取り組む必要があります。これについては、オープン・イノベーションで最大限の熱効率の向上を図ったり、バイオ燃料などの代替燃料を商用化することなどによって、GHG排出量を低減させる研究を続けていきます。

こうした電動化などの研究を進めるにあたっては、高度な開発が効率的におこなわれる体制を整備することが重要です。そのため、開発や性能評価のプロセスについて実機を用いずにバーチャルシミュレーションでおこなう「モデルベース開発」や、人工知能(AI)を活用した高度な開発の基盤整備をしていきます。

②課題解決のためにグローバルに協調を図る

日本が環境性能の高いxEV(電動車)を「作る」だけでは、世界全体のGHG削減に貢献するという長期ゴールを達成することはできません。世界の消費者に受け入れられ、“売れる”ことが必要です。

そこで、“Well-to-Wheel Zero Emission”チャレンジの方針や考え方を世界に発信して広め、共有していきます。

また、xEVの観点で見ると世界でもっとも電動化が進んだ国の一つとして、今後自動車の数が大幅に増加していくと予想されるアジア諸国を中心に、電動化政策や社会システムの経験を共有。世界の電動化進展に貢献していきます。

世界全体で電動化を進めるためには、世界のサプライチェーンの電動化対応を進めることが必要です。日本の電動化技術を共有し、現地で働く人が電動化に対応できるような教育をサポートしていきます。

③ビジネスベースでxEV(電動車)の普及が進む社会システムを確立する

xEV(電動車)の開発への投資や利用がビジネスベースで進展するためには、社会システムを確立することも必要です。

電池に必要となるレアメタルなどの資源については、安定的な調達のための取り組みを進めます。また、リユース&リサイクル市場を作り出し、エコサイクルの構築も図ります。リユース&リサイクルについては、2018年度中に、リユース市場の創出に向けた使用済電池の共同回収スキームの基盤構築をおこないます。また、リチウムイオン電池のリサイクルに向け、国として開発を加速しなければならない技術要素を特定していく予定です。

バスやトラックなどの商用車は、路線バス、観光バス、地域の配送トラック、長距離トラックなど、多様な種類の車が走っています。そこで、早期に電動化しやすい商用車のユースケースごとに、課題とその克服のための方向性を、関係省庁と連携しながら検討していきます。

一方、乗用車については、初期ニーズを生み出して普及拡大のきっかけとするため、購入の際の補助をおこないます。充電インフラの整備を進めることはもちろん、今後、分散型エネルギー社会が構築される中では、“動く蓄電池”としてのxEV(電動車)の役割も重要な位置づけを占めるため、エネルギーシステムと一体での検討を進めていきます。

これらの取り組みが着実に進められれば、今後5年の間に、世界の自動車の電動化を日本がより一層リードできることになるでしょう。日本が拓く自動車の新時代に期待しましょう。

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