大雨でも太陽光パネルは大丈夫?再エネの安全性を高め長期安定的な電源にするためには①

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「再エネの主力電源化を実現するために」では、再生可能エネルギー(再エネ)を主力電源としていくために解決が必要な、いくつかの残された問題をご紹介しました。このうち、「②長期的視点から見た場合の安定性などの問題」については、どのようにすれば再エネを持続可能な電源にできるかという観点から、さまざまな議論が進められています。今回は、今年2018年10月に開催された委員会の資料から、再エネ事業の長期安定化に向けて見えてきている現在の課題と対策案を、2回に分けてご紹介します。

再エネを長期安定的な電源にしていくための議論のポイント

「再エネの主力電源化を実現するために」でご紹介したような、再エネを主力電源化するために解決されるべき問題については、現在、「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」で話し合われています。

再エネ事業を長期安定的なものにしていくためは、以下のような課題があります(論点は第7回の小委員会で議論・指摘されたもの)。

①「安全の確保」に向けた課題
特に太陽光発電については、「固定価格買取制度(FIT制度)」(「FIT法改正で私たちの生活はどうなる?」参照)により参入が急速に拡大していることから、設置工事・メンテナンスの不備などによる安全面での不安がある

②「地域との共生」に向けた課題
再エネの導入が進むにつれ、景観や環境への影響などをめぐって、立地地域において調整が難航するようなケースもあらわれている

③「適切な廃棄」に向けた課題
特に太陽光パネルの廃棄について、廃棄処理費用がきちんと用意されず、放置や不法投棄をされてしまうのではないかという懸念がある(「2040年、太陽光パネルのゴミが大量に出てくる?再エネの廃棄物問題」参照)

2018年10月15日に開催された第9回小委員会では、「再エネ事業の長期安定化に向けた事業規律の強化と地域共生の促進」をはかるため、①、②について議論がおこなわれました。

安全面への不安~自然災害がもたらした再エネの事故

設置工事・メンテナンスの不備による安全面での不安という点で、最近話題となっているのは、2018年数多く発生した自然災害の際に、再エネ発電用の設備が被災し、事故を起こしていることです。

太陽光発電で起こった事故

台風や豪雨では、太陽光パネルの崩落や飛散などの事故が起こる恐れがあります。

50kW以上の事業用太陽光発電は、「電気事業法」という法律において、事故を起こした場合は報告するようにと義務づけられています。その報告によれば、2018年に起こった自然災害のうち、西日本豪雨(7月)、台風21号(9月4日 日本上陸)、北海道胆振東部地震(9月6日)にともなって、計41件の太陽光発電設備における被災と事故が報告されています。

被害を受けた太陽光パネルの写真

被害を受けた太陽光パネルの写真

被災内容で多かったものは、発電設備を立地していたエリアで豪雨のために土砂崩れや水没が起こり、太陽光パネルやパワーコンディショナー(パワコン)が損傷したというものです。また台風による強風で、太陽光パネルが破損した例も多く見られました。

被害状況(50kW以上)
西日本豪雨、台風21号、北海道地震における、50kW以上の太陽光発電について被害状況をまとめた表です。

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一方、50kW未満で、電気事業法上で「一般用電気工作物」に該当するとされている太陽光発電については、事故報告の義務がありません。しかし、FIT制度の創設以来、10~50kW未満の小規模な太陽光発電は、急激に増加しています。事業用太陽光発電に占める割合は、導入件数では全体の約95%(約48万件)、導入容量では全体の約37%(約12GW)を占めるほどです。

そこで、50kW以上の事業用太陽光発電とは別の方法で、被災状況の確認がおこなわれています。たとえば、西日本豪雨による被災においては、2018年7月のFIT買取電力量の実績(費用負担調整機関が集計したもの)によると、豪雨前(6月)と豪雨後(7月)で明らかに差が出た、つまり発電量が大幅に落ち込んだ発電設備が一定の割合あったことが確認されています。また、民間企業の調査でも、台風による被害が大きかった都道府県では、一定の割合の太陽光発電が、長期にわたって発電を停止していた可能性があることがわかっています。

2018年7月の西日本豪雨の前後で発電量が大幅に落ち込んだ案件 (※豪雨の影響が大きかった岡山県、広島県、愛媛県、福岡県、熊本県の5県)
西日本豪雨の前後で発電量が大幅に落ち込んだ案件の件数や割合を、発電出力量別に示した表です。

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なお、これまでにも、たとえば2015年8月に九州で発生した台風15号による太陽光パネルの飛散や架台(太陽光パネルを設置する台)の倒壊など、ここ数年、地域の安全にも影響をあたえる重大な損壊被害が発生していました。そこで、こうした被害をふまえた対応として、2018年10月1日には、太陽電池発電設備を設計する場合の基準のひとつとなる「電気設備の技術基準の解釈」が改められ、より強度の高い設備を設置することが求められるようになりました。

地域との共生~景観や環境をめぐる地元との調整

さらに、再エネの導入が進むにつれて明らかになってきている課題が、発電設備を立地することで景観や環境にもたらす影響をめぐる、地元との調整です。

資源エネルギー庁では、Webサイト上に、不適切な発電案件についての情報を知らせるフォームを設けていますが(「再生可能エネルギー事業の不適切案件に関する情報提供フォーム」参照)、同フォーム宛に自治体から寄せられた情報や、自治体から直接提供された情報は、その多くが法令違反、条例違反、および地元との調整に関して問題のある案件でした。

自治体から情報提供のあった不適切案件
自治体から情報提供のあった、再エネ事業の不適切案件の例を示した表です。

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再エネを長期安定的にするために、どのような対策をとるべきか?

10月15日に開かれた小委員会では、こうした最近のトラブルもかんがみつつ、以下の施策を総合的に実施していくべきではないかという議論が交わされました。

リストアイコン 安全・保安面の規律の強化
リストアイコン 地域住民や自治体との調整の円滑化
リストアイコン 太陽光パネル廃棄対策

施策の具体的な内容は、以下の一覧表にある5つのものです(太陽光パネルの適切な廃棄については、今後の小委員会で議論される予定です)。

次回は、この5つの対策について、詳細な内容をご紹介しましょう。

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