変換効率37%も達成!「太陽光発電」はどこまで進化した?

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再生可能エネルギー(再エネ)の代表的な存在としておなじみになった太陽光発電。その発電技術は今も研究が進められ、性能はどんどん高くなっています。今回は、そんな太陽光発電に関する研究の最前線を見てみましょう。

もっとたくさんの電気を!変換効率アップを目指して

太陽光発電には、光があたると電気を発生させる特徴を持つ「太陽電池」が使われています。ひとくちに太陽電池と言っても、素材や構造の違いによって、さまざまな種類があります。太陽電池が光エネルギーを電気に変換する時の効率を「変換効率」と呼び、数値が高いほどたくさんの電気を生むことができますが、太陽電池の種類によって変換効率には差があります。現在市販されている太陽電池の変換効率は、およそ15%~20%。この数値をアップさせようと、世界中の研究者やメーカーがしのぎを削っています。

普及ナンバーワン、「シリコン系太陽電池」研究の最前線

太陽電池は、その素材によって、「シリコン系」「化合物系」「有機系」「有機無機ハイブリッド系」に大きく分類されます。現在もっとも普及しているのはシリコン系で、実績にも優れています。中でも、「結晶シリコン系太陽電池」が世界市場の90%以上を占めています。あなたがよく見る太陽光発電は、ほとんどがこの結晶シリコン系というわけです。

そんな結晶シリコン系では、さらなる高性能を目指そうと構造の工夫や改良が研究されています。

現在、このタイプで世界最高性能を達成しているのは日本企業で、セル単位での変換効率は26.6%、モジュール単位での変換効率は24.4%です。また、別の日本企業も変換効率25%を超える数値を達成していて、日本勢が世界をリードしています。ほかにも、ドイツの研究所が開発した新構造の太陽電池が、25.3%を達成しています。結晶シリコン系のさらなる進化に期待が高まります。

※セルは太陽電池の最小単位の素子。モジュールはセルを連結して板(パネル)状にしたもの。

宇宙でも使われる「化合物系太陽電池」研究の最前線

化合物系では、「CIS系太陽電池」と「III-V族太陽電池」があります。「CIS系」は、銅やインジウムなどからなる材料を、2~3マイクロメートルというごく薄い膜にして、基板に付着させたものです。結晶シリコン系は150~200 マイクロメートルですから、その薄さがよくわかります。この薄さのため、設計の自由度が高く(例えばフレキシブル化)、また大面積にすることが容易、低コストでつくれるなどの特徴があります。

結晶シリコン系太陽電池とCIS系太陽電池の厚さの違い
結晶シリコン系太陽電池の厚みとCIS系太陽電池の厚みを比較し、CIS系の薄さを説明した図です。

このタイプでも、日本企業が、セル、モジュールともにトップの発電効率を誇ります。ただ、小面積のセル単位では、ドイツの研究所が22.6%の最高効率を達成しています。

いっぽう「III-V族」はガリウムや砒素、インジウム、リンといった原料からなる太陽電池です。その特徴は、原料の組み合わせが異なる複数の材料(層)から構成できること。太陽光には紫外線や可視光線、赤外線などさまざまな波長の光が含まれていますが、材料によって吸収できる波長は限られていて、これが変換効率の限度につながっています。ところが複数の層でつくられる「III-V族」は、異なる波長の光を各材料が吸収することで、多くの光を電気に変換し、高い変換効率を達成することが可能です。

III-V族太陽電池の層構造
III-V族太陽電池が多層構造で、さまざまな光を吸収することを示した図です。

特殊な微細構造を導入することで、理論的にはなんと60%以上の変換効率が可能とも言われています。また放射線への耐性もあり、人工衛星や宇宙ステーションで使われています。

このタイプでも、日本企業が、セル変換効率37.9%、モジュール変換効率31.7%という世界最高の効率を実証しています。コストの高さがクリアされれば、さらに用途が広がる可能性があります。

日本人が発見!「塗る」新型太陽電池

新しい素材を使った太陽電池の研究もおこなわれています。最近注目されているのは、有機無機ハイブリットの「ぺロブスカイト太陽電池」です。2009年に桐蔭横浜大学の宮坂力(つとむ)教授が世界で初めて報告したもので、宮坂教授はこの研究により、米国の学術情報会社から「ノーベル賞の有力候補」のひとりに選ばれています。

ぺロブスカイト太陽電池はまだ研究段階ではありますが、材料を基板に塗るだけという製造工程の簡易さから、圧倒的な低コスト化が実現できると期待されています。また、フィルムのような薄い基板に塗れば軽量化でき、曲面加工もできるため、どんなものにも太陽電池が設置できる可能性もあります。将来は、家の壁すべてや自動車全体を太陽電池にすることもできるかもしれません。

多くの国で研究が進められているほか、日本企業も積極的に研究をおこなっており、世界に先駆けて、モジュール変換効率10%~12%を達成。この数値は今後も伸びていくと見られています。

経済産業省は、こうした日本企業ならびに大学・研究機関の太陽電池研究を支援しており、結晶シリコン系やCIS系のさらなる高性能化・低コスト化、III-V族やぺロブスカイトなど新型太陽電池の研究を促進しています。太陽電池の性能向上や低コスト化によって、太陽光発電の電力コストを低くし、再エネの導入拡大を目指します。

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