資源エネルギー庁がお答えします!~核燃料サイクルについてよくある3つの質問

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原子力発電(原発)では、一度使い終えた燃料を再び利用する取り組み、いわゆる「核燃料サイクル」が進められています。「核燃料サイクルの今」では簡単にその動向を解説しましたが、そもそも「核燃料の再利用」という話題について、ニュースでは耳にするけれど詳しくは知らない…という方も多いかもしれません。そこで今回は、核燃料サイクルに関する基礎知識をあらためてQ&A方式でご紹介します。

Q1.「使用済燃料」「MOX燃料」ってそもそも何のことですか?

「使用済燃料」とは、原発で使い終えたウラン燃料のこと。「MOX(モックス)燃料」とは、この使用済燃料をリサイクルすることで作られた原発の燃料のことです。

使用済燃料の中にはプルトニウムが含まれていますが、「再処理」と呼ばれる処理をしてプルトニウムを取り出し、ウランと混ぜ合わせることによって、新しい燃料を作り出すことができます。これがMOX燃料です。MOXとは、このプルトニウムとウランの混合物の呼び名で、Mixed Oxide(混合酸化化合物)の略です。

このMOX燃料を「軽水炉」と呼ばれるタイプの原子炉で利用することにより、1~2割の資源節約効果が得られます。加えて、使用済燃料をそのままの形で廃棄するよりも、全体の廃棄物の量、特に「高レベル放射性廃棄物」の量を減らすことができます。このような、燃料をリサイクルすることで新しい燃料を得つつ全体の廃棄物の量を減らすことができるというのが、核燃料サイクルのメリットのひとつです。

使用済燃料の再処理例
使用済燃料から作ることのできるMOX燃料について、「BWR」と呼ばれる原子炉の場合の事例を示した図版です。

再処理をおこなうと、約6体の使用済燃料から1体のMOX燃料を作ることができる

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MOX燃料にはプルトニウムが含まれていると聞けば、危険性はないのかと心配になる方もいるでしょう。確かにMOX燃料は、放射線が通常のウラン燃料よりやや強いという特徴があります。また、熱の伝わり方などの性質も違うため、通常のウラン燃料よりも温度が高くなる傾向にあります。しかし、MOX燃料が原発の炉内に3分の1までしかない状態であれば、ウラン燃料と大きな差はないとされており、現在の国内のプルサーマル炉でもそのように運用されています。もちろん、原子力規制委員会による世界最高水準の審査に沿って、安全最優先で利用しています。

なお、世界では1960年代からMOX燃料が利用されており、豊富な実績があります。

Q2.今、「MOX燃料」は日本でどう使われているの?

このMOX燃料は、日本でも一部の原発(「プルサーマル炉」と呼ばれます)で、実際に発電に使われています。これまでは、日本の使用済燃料は、フランスなど海外の工場で再処理がおこなわれて、MOX燃料へと加工されてきました。

今後は日本の国内でもMOX燃料を作れるように、現在、日本原燃株式会社が、青森県の六ヶ所再処理工場・MOX燃料加工工場の操業にむけて取り組んでいます。

さらに、MOX燃料を使い終わった後でもう一度利用することも考えられています。MOX燃料が原発内で燃え終わると「使用済MOX燃料」となりますが、その中にもプルトニウムが含まれているため、そこから再びMOX燃料を作ることができます。そこで、使用済MOX燃料を、通常の使用済燃料と同じように原発内のプールで保管して冷却し、その後再処理しようとしています。核燃料サイクルにおける2周目の再処理だ、とも言えるでしょう。

ただし、MOX燃料の再処理は、まだ具体的な事業としてはスタートしていません。六ヶ所再処理工場は、サイクル1周目にあたるウラン燃料の「使用済燃料」を再処理する予定とされており、使用済MOX燃料を扱う予定はありません。

将来の使用済MOX燃料の再処理については、今後の発生量の見通しや、再処理に関する国内外の技術の動向などをふまえながら、引き続き研究開発に取り組みつつ、検討を進めていきます。

なお、海外では、フランス、ドイツ、ロシアおよびイギリスで、使用済MOX燃料の再処理をおこなった実績があります。また、日本でも、茨城県東海村にあった国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(JAEA)の再処理工場で、使用済MOX燃料の再処理を試験的におこなったこともあります。

Q3.再処理のための費用はどうなっているの?

燃料を再処理してMOX燃料を作るための費用は、すべて、原発を持っている電力会社が負担しています。法律に基づき、各原発で使用済燃料や使用済MOX燃料が発生するたびに、その量に応じた金額を、電力会社が支払うのです。集まった資金は、国の認可を受けた法人である「使用済燃料再処理機構」が管理します。機構は、この資金を使って、使用済燃料の再処理や、MOX燃料の製造を実施します。また、六ヶ所再処理工場も、この機構が日本原燃株式会社に委託して運営しています。

六ヶ所再処理工場は、建設費や今後40年間の操業に必要となる費用などの合計が、約13.9兆円かかることとなっています。また、MOX燃料加工工場にかかる費用は約2.3兆円です。これらの事業費は2017年に増加しましたが、これは施設や配管の耐震補強など、安全対策のための費用が増加したことが主な理由です。

この、再処理に関して必要な資金の集め方について、以前は各電力会社が資金をそれぞれ積み立てる方法がとられていました。しかし電力自由化により、電力会社の経営環境は大きく変化しています。万が一、電力会社の経営が厳しくなった場合、再処理などのための資金が確保できなくなってしまう、という事態は避けなければなりません。

そのため、2016年に法律が改正され、新たに「使用済燃料再処理機構」を設立して、機構が資金を管理し、再処理事業などを実施することになりました。これにより、さらに安定して事業を継続することができるようになりました。

資金の流れ(イメージ)
2016年の法改正でどのように資金の流れが変わったかを示した図版です。

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なお、前述した、将来の核燃料サイクル2周目の「使用済MOX燃料の再処理」については、まだ具体的な事業にはなっていないものの、機構はこの分の費用も算定して長期計画を立てています。したがって、電力会社が今支払っている費用の中には、将来の「使用済MOX燃料の再処理」のための費用も含まれていることとなります。

「核燃料サイクルの政策が変更になった」と聞いたのですが?

2016年の法改正で再処理に必要な資金の管理法が変わったことで、各電力会社の会計処理の方法も変更されています。すこし細かい会計処理上の話になりますが、この違いが思わぬ誤解を生むことにもなっていますので、詳しくご紹介しましょう。

2016年以前、各電力会社は、①六ヶ所再処理工場の費用は「積立金」として積み立て、②将来的に使用済MOX燃料を再処理するなど、六ヶ所再処理工場以外でおこなわれる再処理にかかる費用は「引当金」として、区分して確保していました。それぞれ、①旧再処理等積立金法、②電気事業会計規則、と、根拠となっている法律や規則が異なるため、このような会計処理になっていたのです。

2016年の法改正後、これらはすべて一括で、使用済燃料再処理機構への「拠出金」として各電力会社から支出されています。電力会社ごとの拠出金は、その年度の原発の発電量から、使用済燃料の発生量を計算して、その量に応じて決まっています。2016年までと異なり、現在の各電力会社の貸借対照表を見ると、「引当金」の欄には再処理に関する費用が計上されなくなっていますが、これは単に、使用済MOX燃料の再処理のための資金が、六ヶ所再処理工場のための資金と区分されなくなったというだけのことです。

資金の区分(イメージ)
2016年の法改正でどのように会計上の処理が変わったかを示した図版です。

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つまり、2016年以降は、再処理に関する①の費用も②の費用も「拠出金」として、まとめて支払われるようになっているのです。「引当金に費用が計上されていない」ことから、「核燃料サイクル2周目にあたる使用済MOX燃料再処理を、事実上断念したのでは」という誤解も生まれているようです。しかし、前述したように、機構は、将来の使用済MOX燃料の再処理のための費用も含めて算定しており、長期計画を立てています。したがって、使用済MOX燃料再処理に関する政策変更があったわけではありません。

引き続き、安全を最優先に、貴重なエネルギーを有効利用に利用するために、核燃料サイクルを着実におこなっていきます。

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