LNGを安定的に供給するための取り組み

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火力発電のエネルギー源のひとつにLNGがあります。石油や石炭と並んで、よく耳にする言葉ですが、何を意味しているのか知らない人も多いのではないでしょうか。

LNGは「Liquefied Natural Gas(液化天然ガス)」の略で、天然ガスを約マイナス162℃まで冷却して液体にしたものです。日本は世界最大のLNG消費国ですが、LNGの安定供給のためにはさまざまな課題もあります。今回は、そんなLNGの現状を見ていきましょう。

LNGはクリーンで安全なエネルギー

天然ガスの輸送には2つの方法があります。ひとつはパイプラインで直接、天然ガスを輸送する方法。もうひとつはLNGに加工して輸送する方法で、液化することで気体の状態に比べて体積が約600分の1まで減り、大量輸送や大量貯蔵が可能になります。日本は天然ガスの産出地とパイプラインでつながっていないため、LNGで輸入しています。

天然ガスは、石油・石炭と比較して、大気汚染などの原因となる硫黄酸化物(SOx)がまったく排出されないほか、窒素酸化物(NOx)や二酸化炭素(CO2)の排出量が少ない、クリーンなエネルギーです。

また、エネルギーの多くを海外から輸入している日本では、石油の輸入についてはその多くを中東に依存していますが(「日本のエネルギーと中東諸国~安定供給に向けた国際的な取り組み」参照)、LNGについてはオーストラリアや東南アジアなどからも輸入しています。エネルギーの輸入元がかたよりすぎることによって起こるリスク(「石油がとまると何が起こるのか? ~歴史から学ぶ、日本のエネルギー供給のリスク?」参照)を低くするためにも、LNGは重要な資源なのです。

初期投資が大きいLNGの関連設備

このように、メリットの多いLNGですが、課題もあります。そのひとつは、LNGの買い手が、LNGの調達量や調達期間を柔軟に調整できないということです。

LNGを輸出するためには、天然ガスを液化する施設が必要ですが、この整備にはひじょうに多額の 初期投資が必要となります。このため、液化施設の事業主は、15年や20年など長期間のLNG引取(長期契約)を買い手に求めることで、この多額の投資を可能としてきました。

長期契約は、買い手にとっても長期に安定的なLNG調達が可能になるというメリットがあります。しかしその一方で、日本のLNG買い手である電力・ガス事業者は、2016年4月以降の「電力・ガス市場の小売全面自由化」により事業者間の競争が激化するなかで、LNGの将来の需要が見通しにくくなっていることから、より柔軟な調達量・調達期間を求める傾向にあります。こうした場合、長期契約というビジネス慣習が、短期間での柔軟な需給調整を難しくしています。

また、たとえば買い手が当初予定していたLNGの引取をおこなうことが難しくなり、国内外へ転売しようと考えたとします。そんな時でも、多くのLNG取引契約には、第三者へのLNGの転売を制限する条件(仕向地条項)が付いているため、転売によって需給を調整することが困難になってています。また、そもそもLNG市場に参入する事業者の数は限定的であり、さらに加えて、転売や短期間での売買を可能にするための、流動性の高い取引市場がじゅうぶんに発達していません。

LNG市場をめぐる環境に変化が

このように、閉鎖的・硬直的な市場であるという見方の多いLNG市場ですが、ここ数年は、その環境に変化も見られています。

需要側では、アジアを中心に、今後はLNGの市場が世界中で拡大すると予測されています。経済成長によるエネルギー需要の増加や、自国産天然ガス生産が少なくなっていること などを背景に、2000年には世界で10カ国だったLNG輸入国は、現在では35カ国まで増加しています。また、2017年9月に行われた「ASEAN+3及び東アジアサミットエネルギー大臣会合」では、東アジア・アセアン経済研究センターなどがおこなった「アジアにおける天然ガス利用促進のための政策オプション調査」の結果が報告され、東アジア地域での天然ガス需要は2030年までに現在の2倍以上に増加すること、そのために800億ドル以上のLNG分野への投資が必要であることが示されました。

また、供給側では、米国において、天然ガスの一種であるシェールガスの開発が進んだことで、天然ガスの国内価格が急速に低下。2016年にはシェールガスからつくられたLNGの 輸出が開始され、今後はLNGの一大輸出国になると考えられています。また、米国産のLNGは、製品の発送先(仕向地)が自由であるため、日本企業により、日本企業が購入した米国産LNGを欧州などの第三国へ転売するといった動きも見られています。

LNGを取り巻く環境が大きく変化しているなかで、産出国と消費国にとって望ましいLNG市場の姿を議論するために発足したのが「LNG産消会議」です。LNGの産出国と消費国が集まって、LNG市場が抱える課題や、持続可能な市場についての議論が毎年おこなわれています。2017年10月には、第6回となる会議が東京でおこなわれ、世界32ヶ国・地域から1200人を超える関係者が参加しました。

LNG産消会議2017の集合写真

アジア市場拡大へ向けた2つの貢献

今回の会議では、アジア市場の拡大へ向けて、日本ができる2つの貢献が示されました。ひとつは、アジアの潜在的なLNG需要を現実のものとするために、日本の官民で100億ドル規模のファイナンスを用意して、LNGの普及にかかわる課題を解決すること。さらに今後5年間で500人の人材育成を支援するため、各国の要望に沿った研修の機会を提供することです。

LNGに関する日本の貢献(コミットメント)と約束を表した図です。

資金や人材は、アジアの新興国がLNG市場に参加するための大きな課題です。すでに東南アジア諸国とは、各国のレベルに合わせたきめ細かい協力体制について話し合いが進められています。

アジアを中心とした、LNG市場への新規参入者の増加を通じて、柔軟かつ流動性の高い世界のLNG市場を構築することが、日本へのLNGの安定供給にもつながります。

また、世界最大の消費国である日本には、これまでにつみ上げられたLNGに関する技術やノウハウがあります。これからますますの成長が見込まれる世界市場でも、こうした日本の技術やノウハウが役立つと考えられています。

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