コンテナ型のNAS電池とコンテナ型のレドックスフロー電池の写真です。

左:コンテナ型NASシステム(日本ガイシ株式会社提供)  右:コンテナ型レドックスフロー電池(住友電気工業株式会社提供)

再生可能エネルギー(再エネ)のうち、太陽光発電や風力発電などは、発電量が天候に左右され、コントロールするのが難しいという弱点があります。

そうした再エネの不安定性という問題を解決する装置として期待されているのが、「蓄電池」です。今回は、さまざまな場面で利用される蓄電池の中でも、電力系統で利用される蓄電池についてご紹介します。

電力系統で使う蓄電池とは?

「知っておきたいエネルギーの基礎用語 ~『蓄電池』は次世代エネルギーシステムの鍵」 でもご紹介したとおり、蓄電池はさまざまな用途に利用されます。

その中で、電力系統(発電所から送配電まで、電力に関するシステム全体のこと)につないで利用されるのが、「電力系統用蓄電池」です。この大規模な蓄電池を、再エネ発電所や基幹系統につなげば、電力が余った時には蓄電し、電力が不足した時には放電することで、系統電力の安定化を図ることができます。

経済産業省は、2013年から進めている「大型蓄電システム緊急実証事業」や、2015年の「大容量蓄電システム需給バランス改善実証事業」、2016年の「大型蓄電システムによる需給バランス改善実証事業」などを通じて、蓄電池の実証実験を支援しています。

これらの実証実験のうち、「NAS電池」と「レドックスフロー電池」を使ったケースを見てみましょう。

NAS電池を使った九州電力の実証実験

NAS電池は、負極(マイナス極)にナトリウム(Na)、正極(プラス極)に硫黄(S)、両電極を隔てる電解質にファインセラミックスを使用し、硫黄とナトリウムイオンに化学反応を起こさせて充放電をくりかえす蓄電池です。希少金属を使わない純国産技術であり、フル充電をおこなっても容量の劣化が少ないという特徴があります。また、使用しなくても貯めた電気が自然と減っていく「自己放電」がないことも特徴です。

2015年、日本ガイシが製造する、出力5万kW・容量30万kWh相当のNAS電池が、福岡県豊前市に「豊前蓄電池変電所」として設置されました。

九州電力は、このNAS電池を使った実証実験を、2016年4月から2017年2月にかけておこないました。九州では、太陽光発電の導入量が年々増加しており、2017年11月末時点で、電力系統に接続している太陽光発電は767万kWとなっています(離島を除く)。さらに、毎月5万~10万kWが増加しています。

しかし、前述したように太陽光発電は出力(発電)のコントロールが難しく、電力が余ってしまう時には、出力を抑える「出力制御」をおこなう必要が出てきてしまいます。そこで、大容量蓄電池を使って余った電気を蓄電することで、再エネの出力制御量や出力制御時間を低減することを目指したのです。

実験の結果、1日あたり最大30万kWh相当の再エネ出力制御を回避するための「充放電運転」を、計画通り実施することに成功。再エネ受け入れ拡大に対して、効果があることがわかりました。

レドックスフロー電池を使った北海道電力の実証実験

一方、レドックスフロー電池は、バナジウムなどのイオンの酸化還元反応を利用して充放電をおこなう蓄電池です。充放電サイクルの寿命が長いという特徴を持っています。また、運転状態であっても充電状態を正確にモニタすることが可能なことも特徴です。

レドックスフロー電池を使った大型蓄電システム実証事業は、勇払郡安平町にある北海道電力の「南早来変電所」においておこなわれました。使用されたのは、2015年12月に設置が完了した住友電気工業のレドックスフロー電池で、出力1万5000kW・容量6万kWhです。

北海道は、太陽光発電はもちろん、風力発電が年々増加しています。電力系統に接続している風力発電は、2017年3月時点で約35万kW。今後も、東京電力と共同で実施する実証試験などが予定されており、さらに増加する見込みです。

そこで、この実験では、大規模蓄電池を使って、再エネ発電による出力変動が電力系統に生じる影響を緩和することを狙いました。また、系統用蓄電池の効率や寿命の最大化を図るため、最適な制御や運転技術を確立することも目指しました。

その結果、再エネの出力が急激に変化した場合でも、蓄電池に貯めた電気を出力することで、平滑化できることが確認されました。また、これまでに得られた成果をもとに電力系統用蓄電池を設置することで、電力系統に接続する風力発電の募集を開始し、新規の再エネ連系を目指しています。

系統用蓄電池の実証実験を促進

このように、電力系統用の蓄電池を使うことで、電力の需給バランスを改善したり、再エネの導入可能な量を増やしたりすることが可能となります。

再エネ発電の出力変動を事前に予測する取り組みや、電力系統側によるシステム制御などの取り組みとあわせて、今後も、電力系統用蓄電池の性能向上や、運用の最適化を促していきます。また、電力系統用蓄電池そのものの低コスト化を目指すことも大切です。こうした取り組みも進めることで、再エネ事業者が事業をおこないやすい環境を整備することにつなげていきます。

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