「xEV(電動車)」の世界展開を核とした2050年の長期ゴール~「自動車新時代戦略会議」中間整理発表

「自動車新時代戦略会議」の様子を映した写真です。

自動⾞メーカーの代表取締役社⻑クラスも出席した「自動⾞新時代戦略会議」

電動化の進展や自動運転技術の発達など、大きな変化が起こりつつある「自動車」。2018年4月から開催されている「自動車新時代戦略会議」では、これからの世界における自動車産業の変化と、そこで日本が果たすべき役割について、官民や企業同士の壁を超えて話し合われてきました。今回は、この会議で議論され、8月末に発表された、自動車の電動化に関する日本の「長期ゴール」とはどのようなものか見てみましょう。

オールジャパンで自動車の未来を考える

自動車産業には今、「ツナガル化(Connectivity)」「自動化(Autonomous)」「利用シフト、サービス化(Shared&Service)」「電動化(Electric)」という4つの大きな変化、「CASE」の波が起こっています。

これらの大きな変化は、より効率的で、安全で自由な“移動”を可能にするものです。自動車と社会の関係性が新たな地平、“自動車新時代”をひらく可能性があります。

経済産業大臣が主宰する「自動車新時代戦略会議」は、このように自動車を取り巻く環境が大きく変化する中で、日本の自動車産業が世界のイノベーションをリードし、環境問題などの解決に積極的に貢献していくための戦略が検討されてきました。会議には、トヨタ自動車株式会社、日産自動車株式会社、本田技研工業株式会社、マツダ株式会社の代表取締役社長クラスや、蓄電池の研究者、投資家やエネルギー分野の専門家などの識者も参加。オールジャパンで、日本の自動車産業の未来について議論がおこなわれました。

これまでの会議では、特に直近の動きが激しくなっている「電動化」分野を中心に、「中間整理」が議論され、8月末に発表されました。

2050年に向け「自動車の電動化」の長期ゴールを決定

では、自動車の電動化がひらく“新たな地平”とは何でしょうか。そのひとつは、世界的に大きな問題となっている気候変動への対策として役立つ可能性です。

2016年11月に発効した、2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組み「パリ協定」では、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」という「2℃目標」が掲げられました。これを受け、石油などの化石燃料への依存度を下げるなどしてCO2排出量を低減させる「脱炭素」の実現が求められています(「今さら聞けない『パリ協定』~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~」参照)。

自動車の電動化による環境性能の向上は、この脱炭素のカギとなると見られています。英国や欧州では、ガソリン車やディーゼル車の販売を2040年頃までに禁止することなどを発表しています(「電気自動車(EV)は次世代のエネルギー構造を変える?!」参照)。

日本でも、2014年に発表された「自動車産業戦略」の中で、「2030年代までに、新車販売における、電気自動車(EV)とプラグイン・ハイブリッド自動車(PHV・PHEV)の割合を20%~30%とする」という目標が掲げられました(「電気自動車(EV)は次世代のエネルギー構造を変える?!」参照)。「自動車新時代戦略会議」の中間整理では、2050年に向けた長期ゴールが打ち出されました。

長期ゴール(2050年まで)
2050年までに日本が目指す長期ゴールを示した図版です。

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「長期ゴール」のポイントは「世界」「GHG80%削減レベル」「燃料から走行まで」

長期ゴールのポイント①「世界」に供給する自動車を対象に

この「電動化に関する長期ゴール」のポイントのひとつは、「世界に供給する日本車についての目標」としていることです。

日本の、自動車の電動化に関する知見や技術は世界的に見ても優れたものです。そこで、これらの日本に蓄積されている知見や多くの人材という強みを、世界全体の環境問題という課題を解決するために役立てようと、目標には「世界」という言葉が織り込まれました。

長期ゴールのポイント②「GHG80%削減レベル」の環境性能の実現

ポイントの2つ目は、「2050年までに自動車1台あたりのGHG(温室効果ガス)を8割程度に削減する」という、実現すれば「xEV率が100%」に達するほどのレベルの高いゴールを掲げている点です。

2050年という遠い未来を考えると、車の技術がどのように進化し、各地で導入されていくのかは不確定です。「『電気自動車(EV)』だけじゃない?『xEV』で自動車の新時代を考える」でもご紹介したように、「xEV(電動車)」と一口に言っても、BEV(電気自動車)・HEV(ハイブリッド自動車)・PHEV(プラグイン・ハイブリッド自動車)・FCV(燃料電池自動車)があります。

いずれもガソリン車・ディーゼル車より環境性能が高い点は共通していますが、価格、航続距離など、それぞれ異なる特徴があり、どの「xEV(電動車)」が、どのタイミングで、どの規模で導入されていくかは、経済成長段階やエネルギー需給制約など、地域の状況によって大きく異なります。

そこで、達成手段を限定せずに、「自動車1台あたりの温室効果ガスを2010年と比べて8割程度削減する」というゴールを設定しました。乗用車1台あたりに換算すると9割程度の削減を目指すことになり、この水準が達成される場合には、乗用車のxEV率は100%となることが想定されます。

長期ゴールの特徴③燃料から走行までトータルでのCO2削減にチャレンジ

ポイントの3つ目は、自動車の電動化において重要な、「Well-to-Wheel(井戸から車輪まで)」を意識したことです。

「Well-to-Wheel」とは、自動車における「燃料から実際の走行まで」という意味で、このすべての段階でCO2削減を目指さなくては、「環境負荷が低い」という電動化の効果をじゅうぶんに発揮できません(「『電気自動車(EV)』だけじゃない?『xEV』で自動車の新時代を考える」参照)。

そこで、究極のゴールとしての“Well-to-Wheel Zero Emission”チャレンジに貢献していくことを掲げました。このゴール達成のため、自動走行や新しいモビリティサービスなど、車の使い方のイノベーションも追求しつつ、電気や燃料をつくる方法、つまり「エネルギー供給」のゼロ・エミッション化とも連動していきます。

達成するためには、さらに、この長期ゴールを広く共有した上で、政府や企業が一体となり、戦略的に研究開発やインフラへの投資を進めていくことが必要です。また、社会の在り方も含めて変革を起こしていくことが求められます。

まずは2050年のゴール達成に向けて、直近5年間で取り組む重点項目を決定しました。その詳細はまた次回の記事でご紹介しますが、5年の間に取り組むべきことだけを見ても、たくさんの施策があります。 “自動車新時代”において、日本が世界の環境問題に貢献するため、オールジャパンで、これらの課題にチャレンジしていくことが求められています。

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