これからの再エネとして期待される風力発電

三重県にある青山高原の風力発電用風車群の写真です。

三重県にある青山高原の風力発電

風力発電は、すでにヨーロッパなどではかなりの比率を占めるようになっています。今後、日本でも有力な発電方法になると考えられている風力の現状と、導入を進めていくための課題を見ていきましょう。

世界で進む風力発電のコスト低減

「再エネのコストを考える」でふれたように、世界的に再エネの導入とコストの低減が進んでいます。ドイツをはじめとしたヨーロッパ諸国では、発電電力量のうち30~40%を再エネが占める国もめずらしくはありません。そのヨーロッパで、再エネの主力となっているのが風力発電です。

1980~90年代にかけて、発電設備の大型化や市場の拡大により、風力の発電コストは大幅に低減しました。その後、原材料費の高騰などによって風車の価格が値上がりし、2000年前後からしばらくコストの低減は鈍化したものの、2010年ごろから、さらなる大型化などが実現して再びコストの低減が進みました。現在も、世界では発電コストの急速な低下が進んでいます。

世界の風力発電の発電コスト推移
世界の風力発電の発電コストの推移を1984年から2014年まで示したグラフです。

(出典)Bloomberg new energy finance  ※為替レート:日本銀行基準外国為替相場及び裁定外国為替相場 (2017年5月中において適用:1ドル=113円、1ユーロ=121円)

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こうした中で、中南米を中心に陸上風力事業を拡大し、世界での成長を実現したスペインのイベルドローラ社や、オイルカンパニーから洋上風力に大きく舵を切り、洋上風力のリーディングカンパニーとなったデンマークのオーステッド社など、風力によって大きく成長したエネルギー企業もあります。

日本での風力発電の状況

日本では、2030年のエネルギーの姿を示した「エネルギーミックス」で、「電源構成」(電力を発電する方法の組み合わせ)のうち1.7%程度を風力発電とすることを目指しています。しかし、2017年3月時点で、太陽光発電は2030年見通しに対して約61%の導入が進んでいるのに対し、風力発電は約34%ほどしか導入が進んでいません。

実は、固定価格買取制度(FIT)のスタート以来、FIT制度の対象として認定を受けた風力発電は、2030年のエネルギーミックスの見通しである「1000万kW」にほぼ近づいています。ところが、実際に稼働している風力発電ということで見ると、導入量はまだまだ少ないのが現状なのです。

認定量・導入量の状況
風力発電のFIT認定量・導入量を示したグラフです。

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風力を競争力のあるエネルギー源に

風力発電の稼働を進め、今後競争力のある発電方法とするためには、いくつか解決すべき課題があります。

まず、発電コストを下げることです。現行の日本の風力発電コストは13.9円/kWhで、世界平均の8.8円/kWhの約1.6倍です。新型風車の開発や、開発から運営までになうことのできる「総合産業」としての風車メーカーの育成などをおこなうことで、強い風車産業をつくることが必要です。また、メンテナンスの効率化や、保守運用をおこなう人材の育成を進め、効率的で安定的な発電システムを確立することも求められます。

次に、環境影響評価(いわゆる環境アセスメント)の手続きに、通常3~4年かかるとされていることも課題です。その解決のため、環境影響調査をほかの手続きと並行しておこなうことで、期間の短縮をめざす実証実験がおこなわれています。その7割で期間を短縮できるという効果が確認できており、2018年度には、「発電所の設置に係る環境影響評価の手引」などにその手法を反映する予定です。

洋上風力発電の可能性

3つめは、風力発電に適した立地条件です。陸上の風力発電の開発が進み、適地が減少してきていることから、海域を利用した洋上風力発電が注目されています。これは、周囲を海にかこまれた日本では期待される発電方法です。

洋上風力は海域を長期間にわたって占用することになり、設備の維持管理も必要となるため、占用者の選定基準や手続きの明確化が大切になります。そのため港湾区域については、「洋上風力発電の占用公募制度」を創設し、すでに運用を始めており、事業予定者が決定済みのエリアもあります。

港湾区域以外の一般海域についてはどうでしょう。こちらは海域利用についての統一されたルールが存在せず、各都道府県が条例で運用しています。しかし、占用許可は3~5年と短期間で、中長期的な見通しが立てにくいことが、洋上風力発電導入のさまたげとなっています。また、海運や漁業者など、ほかの海域利用者との調整をはかることも必要です。そこで、2017年12月、政府は一般海域利用について検討チームを立ち上げ、具体策の検討を始めています。

2017年12月8日に開催された「エネルギー情勢懇談会」第4回にゲストとして出席した、洋上風力発電事業の世界最大手であるオーステッド社のアジア太平洋州担当者は、日本の風力発電市場について、「ルール整備などにより、今後、日本もヨーロッパ並みへのコスト低減をはかることが可能」と述べています。

日本にもいずれ、ヨーロッパ並みに風力発電が普及する時代がやってくるかもしれません。

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